訃報
ギラン・バレー症候群の症状と個人的な体験ついて 〜大原麗子さんの訃報より〜
posted in 05:23 2009年08月09日 by 涼微
女優の大原麗子さん、自宅で死亡…死後2週間以上
リンク先の記事で知ったのですが、大原麗子さんはギラン・バレー症候群を患っていらしたらしい。私も足に類似の症状(*1)を発病したことがありますが、この病気はある程度重度のものになると疾患の部位に力が入らなくなって殆ど機能しなくなり(最も重度のものは四肢から体の中心部まで疾患が進行し呼吸器が麻痺して最悪死に至る)、トイレに行くことや食べ物を調達するなど普通の生活をする事が困難になります。
しかしながら、そもそもの発症率がかなり低く(年間2000人ほど)またあまり再発しない病気(5%未満)なので、こうして発症してしまい何度も再発されていたというのはかなり不運なことだと思われます。何はともあれ、謹んでお悔やみ申し上げます。
・大原麗子さん「復帰したかった」…3日に「病死」と判明、8日密葬
・大原麗子 - Wikipedia
・大原麗子さんの作品(Amazon)
・大原麗子さんの作品(楽天)
・すこし愛して、なが〜く愛して - YouTube
さて、このギラン・バレー症候群の原因は一般的に、まず体内に進入したある細菌に先行感染し、抗体が体を守るためにその細菌に攻撃するのを誤って自らの末梢神経を攻撃してしまい起こると言われていますが、まだ正しい事は分かっていないようです(*2)。
私が入院した際に行われた検査は、
1,発症前に下痢があったか、細菌に感染しやすい食べ物を摂取したかなど典型的な予兆について聞かれる
2,尿・便・血液を調べる
3,他の病気ではないかを調べるためレントゲン・MRI検査をする
4,神経の反応を調べるために各種筋電図の検査をする
5,背中から注射で髄液を取り出し抗体を調べる
6,それでも特定出来なかった場合、発症部位の近く(私は足首の横)の末梢神経を切り取って調べる
という事をやりました。
特に末梢神経を切り取る際には、そこに至るまでの皮膚と筋肉は局所麻酔を掛けるため痛みが軽減できるのですが、検査のために傷を付けてはいけないので末梢神経には麻酔をかけることができず、神経を切り取るとき激痛が走ったりします。切り口も見せてもらいましたが足がぱっくり開いて結構なグロさでした(*3)。他にも、針筋電図検査の電気を流すのが地味に痛かったりしますが、神経の回復具合を調べるため計四回ほど検査したりしました。
そして、この病気の治療方法は「免疫グロブリン療法」または「血漿交換療法」が主流で、これらの治療は数日間に渡って決められた量の血液製剤を投与し続けます。この治療をしている際は数時間点滴につなぎっぱなしなので移動するのに色々と不便だったりします。ここまでの検査・治療で初診から大体二十日〜一ヶ月ほどかかります。
その後、症状がある程度治まった後は発症部位を数日〜数ヶ月間動かしていない場合が多いので、割と長めの期間を要してリハビリをし元通りに動かせるようにする必要があります。一般的に予後は良好と記されていますが、後遺症が残る人も一定数の割合でいるようです(*4)。
恐らく、今回初めて「ギラン・バレー症候群」という病名を聞いた方が多いかと思いますので、自分や自分の周りの人が同様な特定の部位に力が入らない症状になった場合に病名の一つとして認知して迅速に対応出来るように(*5)、発症確率が低いながらも知っておいても損はないと思われます。
というのも、私が最初に動くのが困難になった際に「ギラン・バレー症候群」の症状を知らなくて肉離れか何かかと思ったので整形外科に受診しに行ったのですが、診察してくださった先生は全く当てがないような困った表情をしていました。医者も万能ではないので自分の専門外の病状を見せられても手の施しようがないということでしょう(参照:分からないときの振る舞いかた - レジデント初期研修用資料)。
その際に、いかに多くの病状を知っていて(または調べられる環境があって)適切な病院にかかりに行くことが出来るかというのが初期治療を迅速に受けれるかどうかという点で重要なことだと思われます。
最後にギラン・バレー症候群を違った方法で検査・治療をされている方がいらっしゃったり、何か医学的に間違っている所がありましたら、コメント欄などでつっこみを入れてもらえれば幸いです。
*1:症状はギラン・バレー症候群そのもの(末梢からの筋力低下)だけど、後述の様々な検査をした結果症状特有の抗体が見つからなかった(もしくは一定量以上が見つからなかった)。
*2:私が調べた限りでも先行感染が証明されない例や遺伝の影響が大きいなどの文章が見つかりました。
*3:執刀医によると好んで見る人はそんなにいないらしい…。
*4:私も足の速さや足首が曲がる角度が発症前ほどには戻っていないです。
*5:当然長時間放っておくよりは、発症して医者にかかるのが早ければ早いほど後々の治り具合が良い。
・ギラン・バレー症候群の発症機序解明へ向けて:研究の道のり
・ギラン・バレー症候群 - wikipedia
・ギラン・バレー症候群(ぎらん・ばれーしょうこうぐん) - 難病用法センター
・ギラン・バレー症候群の家族内発症例
ギラン・バレー症候群の本
手足の神経がマヒして歩行などが困難になる「ギラン・バレー症候群」の治療のため、近年は芸能活動を休止しており、昨年11月、自宅で転倒して右手首を骨折した
リンク先の記事で知ったのですが、大原麗子さんはギラン・バレー症候群を患っていらしたらしい。私も足に類似の症状(*1)を発病したことがありますが、この病気はある程度重度のものになると疾患の部位に力が入らなくなって殆ど機能しなくなり(最も重度のものは四肢から体の中心部まで疾患が進行し呼吸器が麻痺して最悪死に至る)、トイレに行くことや食べ物を調達するなど普通の生活をする事が困難になります。
しかしながら、そもそもの発症率がかなり低く(年間2000人ほど)またあまり再発しない病気(5%未満)なので、こうして発症してしまい何度も再発されていたというのはかなり不運なことだと思われます。何はともあれ、謹んでお悔やみ申し上げます。
追記(死後2週間以上ではなかったらしい)
・大原麗子さん「復帰したかった」…3日に「病死」と判明、8日密葬
参照URL
・大原麗子 - Wikipedia
・大原麗子さんの作品(Amazon)
・大原麗子さんの作品(楽天)
・すこし愛して、なが〜く愛して - YouTube
さて、このギラン・バレー症候群の原因は一般的に、まず体内に進入したある細菌に先行感染し、抗体が体を守るためにその細菌に攻撃するのを誤って自らの末梢神経を攻撃してしまい起こると言われていますが、まだ正しい事は分かっていないようです(*2)。
私が入院した際に行われた検査は、
1,発症前に下痢があったか、細菌に感染しやすい食べ物を摂取したかなど典型的な予兆について聞かれる
2,尿・便・血液を調べる
3,他の病気ではないかを調べるためレントゲン・MRI検査をする
4,神経の反応を調べるために各種筋電図の検査をする
5,背中から注射で髄液を取り出し抗体を調べる
6,それでも特定出来なかった場合、発症部位の近く(私は足首の横)の末梢神経を切り取って調べる
という事をやりました。
特に末梢神経を切り取る際には、そこに至るまでの皮膚と筋肉は局所麻酔を掛けるため痛みが軽減できるのですが、検査のために傷を付けてはいけないので末梢神経には麻酔をかけることができず、神経を切り取るとき激痛が走ったりします。切り口も見せてもらいましたが足がぱっくり開いて結構なグロさでした(*3)。他にも、針筋電図検査の電気を流すのが地味に痛かったりしますが、神経の回復具合を調べるため計四回ほど検査したりしました。
そして、この病気の治療方法は「免疫グロブリン療法」または「血漿交換療法」が主流で、これらの治療は数日間に渡って決められた量の血液製剤を投与し続けます。この治療をしている際は数時間点滴につなぎっぱなしなので移動するのに色々と不便だったりします。ここまでの検査・治療で初診から大体二十日〜一ヶ月ほどかかります。
その後、症状がある程度治まった後は発症部位を数日〜数ヶ月間動かしていない場合が多いので、割と長めの期間を要してリハビリをし元通りに動かせるようにする必要があります。一般的に予後は良好と記されていますが、後遺症が残る人も一定数の割合でいるようです(*4)。
恐らく、今回初めて「ギラン・バレー症候群」という病名を聞いた方が多いかと思いますので、自分や自分の周りの人が同様な特定の部位に力が入らない症状になった場合に病名の一つとして認知して迅速に対応出来るように(*5)、発症確率が低いながらも知っておいても損はないと思われます。
というのも、私が最初に動くのが困難になった際に「ギラン・バレー症候群」の症状を知らなくて肉離れか何かかと思ったので整形外科に受診しに行ったのですが、診察してくださった先生は全く当てがないような困った表情をしていました。医者も万能ではないので自分の専門外の病状を見せられても手の施しようがないということでしょう(参照:分からないときの振る舞いかた - レジデント初期研修用資料)。
その際に、いかに多くの病状を知っていて(または調べられる環境があって)適切な病院にかかりに行くことが出来るかというのが初期治療を迅速に受けれるかどうかという点で重要なことだと思われます。
最後にギラン・バレー症候群を違った方法で検査・治療をされている方がいらっしゃったり、何か医学的に間違っている所がありましたら、コメント欄などでつっこみを入れてもらえれば幸いです。
*1:症状はギラン・バレー症候群そのもの(末梢からの筋力低下)だけど、後述の様々な検査をした結果症状特有の抗体が見つからなかった(もしくは一定量以上が見つからなかった)。
*2:私が調べた限りでも先行感染が証明されない例や遺伝の影響が大きいなどの文章が見つかりました。
*3:執刀医によると好んで見る人はそんなにいないらしい…。
*4:私も足の速さや足首が曲がる角度が発症前ほどには戻っていないです。
*5:当然長時間放っておくよりは、発症して医者にかかるのが早ければ早いほど後々の治り具合が良い。
参照URL
・ギラン・バレー症候群の発症機序解明へ向けて:研究の道のり
・ギラン・バレー症候群 - wikipedia
・ギラン・バレー症候群(ぎらん・ばれーしょうこうぐん) - 難病用法センター
・ギラン・バレー症候群の家族内発症例
ギラン・バレー症候群の本
ギラン・バレー症候群からの生還 | |
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