自伝
本多静六自伝 体験八十五年/本多 静六
内容(「BOOK」データベースより)
人生即努力、努力即幸福―。明治・大正・昭和を見事に歩んだ痛快無比の人生から、いまを生きる私たちのなすべきことが見えてくる。
項目
1 少年時代
2 苦学時代
3 大学生活を語る
4 ドイツ留学
5 教授時代
6 私の家庭生活
7 人と事業
8 人生即努力、努力即幸福
採点
75点
(評・感)本多静六自伝 体験八十五年
書評
わたし自身、本多静六という人物を本書で始めて知ったのだが、知らない人のために簡単に経歴を掲載してみる。
経歴(wikipedia)
1880年 島村泰氏(岩槻藩塾長)に書生として師事。
1884年 東京山林学校(東京農科大学)に入学。
1890年 ドイツへ留学。山林学校(ドレスデン工科大学林学部)、ミュンヘン大学に学ぶ。
1893年 東京農科大学の助教授に就任。
1894年 東京専門学校(早稲田大学)の講師に就任。
1899年 学位林学博士を取得。論文は『森林植物帯論』。
1900年 東京帝国大学農科大学(東京大学農学部)の教授に就任。
1901年 日比谷公園の設計調査委員に就任。
1915年 明治神宮造営局の参与に就任。
1930年 国立公園調査会の委員に就任。所有していた山林(秩父郡大滝村、約2700ha)を埼玉県へ寄贈。
1938年 東照宮300年祭記念調査会の委員長に就任。
ところで、解説を務めている神田昌典氏も指摘している事だが、本書の内容はこの経歴の中でも主に、教授になる前までの26年間が大半を占めている。そこで神田氏の言を借りると、十代から二十代の時期に経験を積むことが大切だと言うメッセージを我々に伝えたかったのではないだろうか。という事で、わたしも大いに同意するところだが、しかしそれにしては具体的な記述に乏しく、誤解を恐れずに言えば、氏の生涯の断片を表面的に切り取っているだけように思われた。それについては、文字の大きさに対してのページ数の少なさ(260ページ)も物語っている。
もちろん、それには様々な要因が考えられる。本多氏は生涯約370冊の本を著したということで、恐らく具体的な記述はそちらのほうに書いているのだろうし(まことに恐縮ながら一冊も読んだことはないのですが…)、また本書は氏の生涯における最後の一冊と言うことで人生を大まかに印象的な事柄を振り返る意味の一冊にしたかったのだろう。
もちろん、お金儲けの意味合いが薄いと思われる本書(これは氏の性格からにじみ出ているのだが)においては、著者が書きたいことを書けばよいので特に否定はしないが、わたしが勝手に本書に思い描いていた氏の学生時代や教授時代における氏の具体的な生活様式の方法としては少し物足りなかった感は否めない。
おそらく、自伝と言いうのはこういうものなのであろう。
感想
著者とわたしの意図の違いを嘆いてもしょうがないので、ここからは本書の良かった点を書くことにしよう。
先にも書いたとおり、本書は幼少期から大学教授までのストーリーであるが、その現代では到底考えつかないような奇抜な物語は良かった。例えば、勉学が思うようにはかどらないと言うことで二度も自殺しようとしたり、外国に行き来するにはまだまだ不便な時代における留学記はとても現代生活では思いもよらない貴重で斬新なものである。
さらに、本書で言わんとしている人生を達観した者としての人生哲学
(こちらを参照のこと↓)
はこれを見るためだけのために、本書を買っても間違いないといえる程のものである。
補足(林学)
林学(りんがく)は、森林、林業に関する学問分野で、造林、砂防・治山、林政、林産化学、林業工学、森林計画学などに細分されている。大学、大学院においては、農学部内に林学、あるいは森林科学などの名称で学科や専攻コースが置かれる場合が多い。
元来は、森林を資源として捉えた林業の側面からの研究が主であったが、現代では環境問題に重きを置いて研究されている。
なるほど、現代で言えば農学部林学科と言うことになるのか。本書で、初めて本多氏の専攻が「林学」と書かれていた時は、どういう事だろう?と思ったけど、本書を読み進むに連れてだんだん意味が分かっていく過程もそれはそれで面白い。
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