地域格差

地域格差拡大による中小企業への影響とその改善策

posted in 10:00 2007年06月27日 by 涼微
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参考文献

中小企業白書

前書き

これは某授業へのレポートである。ほとんど文献からのアレンジ無し&補足しないといけないところ(字数に達したからといってどう考えても改善策が短すぎだろ 笑)や変な言い回しがある事も分かっているが直さないのはエネルギー最適分配のジレンマから生じているのであろう。(自分が教授でこんなもん持ってこられた日には、仕方なく単位をくれてやろうというレベル)しかし、中小企業白書は無味乾燥だと聞いてたけどぼちぼち面白いかな (’-’*)

本文

 2006年度は好調な世界経済や円安による輸出産業の伸び、堅調な設備投資によって景気回復が推し進められた一方で、有効求人倍率や完全失業率といった雇用水準の格差に見られように地域間による景気回復のばらつきが見られた年であった。その最大の要因は地域間の産業構造の違いに依るところが大きい。というのも、昨年度の景気回復の要因は上記の通り好調な輸出産業に依存しておりその恩恵を享受している業種は一般機械や輸送機械、電気機械等を作る製造業である。この製造業は中部・関東・中国地方に多く集積しており、逆に北海道・東北・九州・四国地方に占める割合は相対的に低く留まっている。

 一方で、近年の政府の方針による公共事業の削減の損害を被っている建設業の分布は製造業の分布とは逆転し、北海道・東北・九州・四国地方で高い割合を占め、中部・関東・近畿・中国地方では殆ど活動していない。さらに、機械関連業種と生活関連業種の割合を地域で比較して見てみると、生産が右肩上がりの機械関連産業が占める割合が高い地域は東北・中部・関東・中国・九州地方であり生産が減少傾向である生活関連産業に占める割合が高い地域は北海道・四国地方となっている。この様に業績が好調な産業と不調な産業の地域による偏りが見られ、さらに公共事業の削減による所得の再配分機能が弱まっている事も合わせて、賃金格差による消費水準の違いや設備投資水準の違いが現れる事で需要のばらつきが生じている。特に景気が好調な関東・中部地方に対して北海道・四国地方といった景気が低迷している地域の格差図式は不公平感が生じ深刻な事態となっている。

 この様な図式は中小企業において特に顕著に当てはまる。というのもグローバルな展開を持ち世界経済好況の恩恵を受けている大企業に対して、中小企業はまだ消費が伸び悩み十分な景気回復とは言えない国内を相手にすることが多いので地域格差の影響も伴い経営状況が良いとは言えないところが多いからである。ではこういった地域格差を是正するにはどうしたらよいのだろうか、ここではその解決策として地域特有の資源を有効活用する事で地域自発的に格差を是正することが出来るかどうかについて検証してみる事にする。

 一般的にどの地域でも他の地域とは違った特有の資源<特産品や伝統的に継承された製法、地場産業の集積による技術の蓄積、自然や歴史遺産といった文化財等>を有している。そういった特有の資源を使うことによって地域外からの需要を取り込み格差是正に繋げるという方法が考えられるが、ではそのためには具体的にどの様な戦略を実行したらよいのだろうか。そこでまず考えられる方法は各々の地域の資源の特性を活かす事で差別化を図り競争力を高めることである。というのも各地域の中小企業が競争する相手で最も厄介なのは、価格競争を仕掛けたところでその経済性差から遠く及ばない大企業であり、その対策として差別化を図り付加価値を付ける事で初めて対等な競争が出来ると考えられるからである。そして、実際の地域特有産業においても付加価値を付ける事による製品・観光事業の差別化が行われている。これは例えば、中小企業による地域特有産業の価格帯が大企業の価格帯よりも高いことからも見て取れる。というのも仮に中小企業が差別化を図ることなく大企業と類似した商品を販売したと仮定すると、有益な差が見られない以上価格競争に陥ってしまう可能性が高くなり、多くの場合価格は適正な値に収束してしまう。しかし、各地域の中小企業は差別化を図ることにより付加価値を付ける事で高価格帯を維持することが出来ていると考えられる。

 では、具体的に差別化のポイントとなるのはどの要素だろうか。三菱総合研究所の「地域中小企業の差別化への取り組みに関するアンケート調査」によると、商品のデザイン・イメージ・知名度といったブランド戦略、販売先との信頼関係の構築、とにかくその地域特有資源の使用を挙げる業者が多いという結果になった。果たしてこのような取り組みは妥当なものと言えるのだろうか。ここで留意しておかないといけない事項は、おそらくどの地域も上記の取り組みはある程度行っているはずであり、また仮に多少改善したとしても地域格差是正の決定的な要素になるとは思われない事である。そこで、ここで提案したいのは新商品の開発に着手することである。そのためにはまず、地域に特有の経営資源を見出しそこから徹底的なイメージ戦略に取組むと同時に他者との連携を働きかける事が先決であろう。またここで大事なのはその販売先を地元のみに留めずに他地域にも積極的に拡販していくことである。

 以上のように主に産業構造の差異による地域格差から中小企業が脱却するための指針を示してきたが、これからも景気が良い地方への人材流出等でより一層の格差拡大が予想される。そういった状況で地域を活性化させるのにその地域に密着した中小企業が担う役割は今後大きくなって行く事であろう。

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「地域力再生機構」の創設提案と地域格差

posted in 07:40 2007年06月06日 by 涼微
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 経済財政諮問会議が去る28日に開かれ「地域力再生機構」の創立が提案された。「地域力再生機構」とは、地域経済の活性化のために地方の中小企業、金融機関等の手助けまた第三セクターの再生や破綻処理の役割を果たすと言われていて言わば「産業再生機構」の地方版の事である。

機構の資本金は500億円で設置期間は5年という事だが、官主導の組織のため再生の対象企業や資金の透明性を保持し不透明な介入を防ぐ手立ても欠かせないところだ。

この中でも特に建て直しが急務なのは、「民間活力の活用」どころか地方財政の足枷と成り下がっている「第三セクター」であろう。民間に委託し辛いこの「第三セクター」こそ率先して調整を手がけるべきである。

ところで、「地域力再生機構」の設立の背景でもある都市部と地方圏の経済格差が深刻だと言われている。2007年 4月 完全失業率3,8%でも記した所得や雇用の格差や、当記事における企業の業績格差、また三位一体政策もその一因と言われている財政力の格差が広がっている。

それに対して国ももちろん対策を打ち出している。「地域力再生機構」の他にも「ふるさと納税」や「道州制」における議論、また経済財政諮問会議においても積極的に話し合われており、観光学における地域観光の促進等々新聞・ニュースでは地域格差是正の話題が後を絶たない。

しかしそもそも、本当に地方格差は拡大しているのかという事が疑問である。「地域格差」は拡大しているか〜統計的実態と格差意識の乖離が示唆するもの〜によると

「所得・雇用面での統計から見る限り、地域間格差はここ数年拡大の兆しがみえるものの、やや長い目で見れば格差拡大を必ずしも断定できない。 生産面(企業活動面)での地域間格差は拡大の方向性がより明確に認められる」

との事でまだまだ限定的であり、多少のバイアスが掛かっていると主張する。

これから地域格差の議論は本格化していくが、国民は政策の是非を見極めるために積極的に関わる必要があると言えよう。

ソース

経済財政諮問会議 地域力再生機構創設へ

門外漢の政治経済学

CRIちばぎん総合研究所

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