科学・数学

物理法則はいかにして発見されたか/R.P.ファインマン(訳)江沢 洋

posted in 21:42 2007年02月06日 by 涼微
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出版社/著者からの内容紹介
物理法則とはどのような性格のもので,それはどのようなものの見方から発見に至ったのか.語りの名手ファインマンさんが,その心躍る展開を若者に熱っぽく語った.また,ノーベル賞受賞となった自身のアイデアと新理論完成までの曲折を,ユーモアを交え分かりやすく解説.物理の魅力あふれる世界に万人を誘う,楽しい入門書となった.

採点

70点

内容のレベル     

         8

本書・著者(ファインマン氏)について

本書は「一般人向けに講演した内容を易しく書いた本」という事で読んでみたが、やはり物理の知識の下地が無い者にとってはやや難解な内容であった。

何が難しいかと言うと、数式と物理用語が出てくると、その意味が分からない者にとっては推測をするしかなく、またその推測も良くて曖昧正解でほとんど間違ったものであるから、もうチンプンカンプンなのである。

そういった者にとって、唯一の救いとなるのは図による説明なのだが、本書にもそれなりに付いていたのだが、もう少し難解な部分については図が欲しかったなぁ、と言いたいところだが、自分の無知さを本の製作者にぶつけてもしょうがないのであまり文句は言うまい。

さてもちろん、何とか分かる部分もあったのだが、その部分は確かに物理を学んでない者を物理の世界へ招待する橋渡しにはなっていた。例えば、重力の法則成立の背景だとか、そこから広がる物理への応用であったり、物理の学問の根底で広がる諸法則だったり、素人目に見てもなるほどと思えるものだった。

それに付け加えてファインマン氏の語り口調も滑稽で面白い。しかし、和訳本ということでおそらくファインマン氏の人格を完全に反映しているわけではないのだろうから、英語に堪能な人は原文を読んでみるのも面白いかもしれない。

さて、この様な具合に本書のつくりに突っ込むことは出来るのだが、残念ながら内容に突っ込むには、わたしでは物理に対する知識が足りないので、ファインマン氏の功績について調べてみた。

ファインマン氏

wikipedia

 

リチャード・P・ファインマン(1918年5月11日 - 1988年2月15日)は、アメリカ合衆国出身の物理学者である。経路積分や、素粒子の反応を図示化したファインマンダイアグラムの発案でも知られる。1965年、量子電磁力学の発展に大きく寄与したことにより、ノーベル物理学賞を授賞した。

カリフォルニア工科大学時代の講義内容をもとにした、物理学の教科書『ファインマン物理学』は世界中で高い評価を受けた。また、『ご冗談でしょう、ファインマンさん』などユーモラスな逸話集も好評を博している。生涯を通して彼は抜群の人気を誇っていた。

ということだそうで、「量子電磁力学」でかのノーベル賞を受賞したらしい。ちなみに、本書にはノーベル賞受賞講演というのが収録されているので、興味を持った人は是非読んでみるとよい。(ただここは、メインの「物理法則とは何か」という章より難解でほぼ意味が分からなかった^^;)

しかし、このまま分からずじまいというのもなんだか悔しいので、本書のレベルぐらいならなんとか理解出来るようになろうと思わせられたなんともいえない本であった。

詳しい内容についてはこちらでどうぞ

ニューロンとワイヤの狭間から

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進化しすぎた脳/池谷 裕二

posted in 17:36 2007年01月30日 by 涼微
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採点

85点

項目

第1章 人間は脳の力を使いこなせていない
  講義をはじめる前に
  みんなの脳に対するイメージを知りたい ほか
第2章 人間は脳の解釈から逃れられない
  「心」とはなんだろう?
  意識と無意識の境目にあるのは? ほか
第3章 人間はあいまいな記憶しかもてない  
  「あいまい」な記憶が役に立つ!?
  なかなか覚えられない脳 ほか
第4章 人間は進化のプロセスを進化させる
  神経細胞の結びつきを決めるプログラム
  ウサギのように跳ねるネズミ ほか

詳細項目

内容のレベル     

        7

(概感)進化しすぎた脳

現代科学で注目されている一つである「脳」についての入門書的な本を探していたら、「中高生と語る大脳生理学の最前線」という事で、なんとも丁度よさそうな本を発見!ということで、まずこの本の概要を見てみよう。

概要

そもそも本の構成は、「中高生との対話」ということで、小人数の授業形式で進められている。だから、著者の池谷裕二氏も学生にも分かりやすい様に、出来るだけ難解な言葉や表現を使わないように、また様々な例を用いて「脳」について語っているので、本書は非常にスムーズに読み進めることが出来る。

さて、この本のタイトルである「進化しすぎた脳」という意味はいきなり第一章で説明される。それは要するに、今や常識となっている感もあるが、人間は脳を使いこなせていないという事である。というのも、脳はその持ち主が現在置かれている環境に相応した能力しか使わない。例えば、もし人間に腕が4本あるという環境の下では、脳でその腕についての神経が発達し、使いこなすことが出来ると著者は言っている。また、脳の中身では、人間の各部位(目、足etc)についての対応する箇所やそこから繋がる神経が決まっていて、そこに刺激を与えるとどういった反応が起こるのかという実験をマウスや人間に近いサルでする事で、日々研究が進んでいるのだという。

また、本書では脳の勝手な解釈というテーマについても一章を設けている。例えば、人間が世界を解釈する際に良く使っている目の「見る」という機能も脳の解釈から成り立っているという。というのも錯覚が起こるメカニズムは網膜における二次元的なつくりを現実の三次元に対応させるために必要なものだとか、実は目で識別できる範囲は狭く、それを脳が補ってくれているだとか、要するに脳の解釈により人間も現実を解釈しているのである。

さらに、扁桃体についての話も興味深い。これは、人間の根本的で反射的な反応がこの部位で起こり、この扁桃体が活動することにより様々な感情が出る。要するに、「悲しい」等の感情が出てそこから「泣く」行動に移るのではなくて、扁桃体が反応しそこから反射的な活動がおきて感情が出てくるということだ。

後半に掛けては、今度は記憶のあいまいさのメカニズムとその効用の章がある。メカニズムに興味がある人は本書を読むか何かで調べてもらって、効用について知るのは大変有益である。というのもコンピューターの様な正確な記憶と違い、曖昧な記憶というのは応用力が働く。つまり、過去の記憶と繋げる事で創造的な思考となるのである。だから、記憶力が悪いのも案外有益なものと認識した方が良い。

最終章はアルツハイマー病等を扱い、少し科学的であり説明しだすと長くなりそうなので、割愛させていただこう。

気になった単語

ニューラル・プロステティクス「神経補綴学(しんけいほていがく)」…脳内で考えた事は、電気の信号を伝達する事で動作に伝わるので、その信号をコンピューターで感知し物質を動かす。

この技術が出来たらすごいなぁ!今後要注目の分野です。

複雑系…様々なミクロ的な要因が集まtったマクロ要因は、単純な法則では予測不可能となる。

勉強不足で知りませんでした^^;近いうちに関連書籍を読んでみよう。

感想

脳のことについて知るのは、理系人間じゃなくても必要なことなのではないでしょうか。というのも日々の生活で行動する時、まず間違いなく脳が関わってきている。だから、脳のことについて知れば、生活の中で考える事の質も上がる気がするから、脳についての本を読んでいこうと思ったわけである。

さて、本書はそういった意味で入門的にも最適な位置づけな本の様に思われる。というのも上にも述べたとおり、表現が平易で専門用語が出てきても、その用語の位置関係がすぐに分かるからである。

しかし、脳というのはもっと深い物で、これだけの知識ではまだまだ足りるものでもないから、これからも脳関係の本を読み進めていくことだろう。

また、脳に興味がない人もこの本を読めば興味を持てるのではないかと思われるのでおすすすめの一冊である。

興味深い関連ブログ

ish

Book Review’S 〜本は成長の糧〜  

無秩序と混沌の趣味がモロバレ書評集 

ど風呂グ  

Do you think for the future?

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暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで/サイモン・シン(訳)青木 薫

posted in 12:55 2006年12月20日 by 涼微
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採点
70点

内容
暗号についての作成・解読のドラマ

項目
第1章 スコットランド女王メアリーの暗号
第2章 解読不能の暗号
第3章 暗号機の誕生
第4章 エニグマの解読
第5章 言葉の壁
第6章 アリスとボブは鍵を公開する
第7章 プリティー・グッド・プライバシー
第8章 未来への量子ジャンプ

読んだ動機
知る人ぞ知る長門さんがアニメで読んでたから (笑

こんな人にお勧め
1、暗号の観点からの歴史について興味がある人
2、暗号の基礎を知り、作りたい人
3、古代文字の解読方法が知りたい人

内容のレベル      
    6        

暗号について
暗号については、この本を読むまでは無知で、特に興味があったわけではないのだが、暗号というものは知ってみるとかなり奥が深いものである。何故なら、暗号の作成はそもそも、相手に解読されないようにしようとしているので、世界のあらゆる知能や技術を結集して作っていると言っても過言ではないと言えるからではないだろうか。

暗号と言えばなんとなく「忍者」を思い出させるのだが、みなさんはどうだろうか?しかし、それは単に日本人的な発想であると本書から思い知らされた。なぜなら中世ヨーロッパや世界大戦などのワールドワイドな事例を扱っているからである。しかし、暗号の需要を考えてみればそれは当たり前のことである。というのも、暗号は、敵に文章の中身が知られたくない度合いの高さが需要と正に相関していると思われる。だから、日本における敵国との戦争の数及び規模と世界における戦争の数及び規模を比べればどちらが暗号に対する需要が高いか自ずと分かるだろう。

さらに、暗号における最大の問題である鍵の配送の問題について言及しておこう。この問題は、暗号を解く鍵を他の人に盗み見られることなく、ある特定の人に渡したいという思惑から発生するものである。しかし、これがなかなか厄介な問題で、直接配送すには時間がかかるし、電波を使えば、途中で盗み見られる確立がかなり高い。

そこで、本書では一方向関数を紹介している。これは、簡単に言えば、ある元の数字を使い計算して結果を出すのは簡単だが、その結果から元の数字を出すのが難しい関数である。それを応用すると途中で盗み見られても元の文字列が分からない文字列が出来上がるというわけである。

しかし、この方法は単に現代で解読出来ないだけかもしれないので、これからは、量子を使った暗号作成&解読の時代になっていくそうである。

ところで、この本の醍醐味は何といっても暗号・古代文字の解き方を解説しているところである。それは、暗号の文中に出てくる文字数を調べたり、数学的な計算をしたりする。先にも言ったが、暗号とは、人を惑わせようとして作った文字列であるから、これを解読するには、言語学・考古学・数学などのかなり深い知識が必要となる。その知識を応用して解読していく過程は痛快である。

みなさんもこの本を読んで友人や恋人と、日々のやり取りを暗号文でやり取りしてみてはどうだろうか?なんとなく知的水準が上がったそんな気がするかもしれない。

こちらのブログも巡ってみよう!
本を読もう!!VIVA読書!


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統計のはなし―基礎・応用・娯楽/大村 平

posted in 02:09 2006年12月04日 by 涼微
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採点
60点

内容
統計学の基礎

項目
1、基礎編
   統計と人生
   数字のグループを取り扱う
   ばらつきのスタイル
   ばらつきの法測
   見本で全体を推定する
2、応用編
   実験は楽しく有効に
   故障と寿命
   ぺてんにかかりそうな統計
   統計の大学院)
3、娯楽編
   パチンコの統計
   野球の統計
   競馬の統計

読んだ動機
統計を使って麻雀など確立を扱うゲームや世の中の数字を分析したかったか

こんな人にお勧め
1、統計学を勉強しようと思っている人
2、世間の調査の結果を真に受けている人
3、ギャンブルで負け続けている人

内容のレベル
    3

統計について
今の世の中数字が溢れかえっているので、日常生活する上で統計を知っていると便利なことがたくさんある。

例えば、新聞等で日常よく目にする政治や企業等に対する様々な事に対する調査の結果の見方もずいぶん変わってくる。このような調査は、例えば、インターネットで調査すると、インターネットを使う人のデータしか採れない、等の偏りが往々にして起こるものである。ここで母集団のことを知っていると、この結果は本当に正しいのだろうか?ということを考えることができ、また誤った結果ならそれを真に受けることもなくなるだろう。

また、ギャンブルする上でも統計は必要なのではないだろうか。昔、インターネット麻雀にはまっていたものだが、運の要素が大きいとはいえ、統計等で数字を処理して最適な行動を選択しようとするのも一種の楽しみ方である。まさか、数字を頼りにせずに直感だけで勝っている人がそんなに大勢いるとは思わない。とはいえ、麻雀ならけっこうそうだけれども。しかし、他の確立ゲームはいかに数字を扱い最適な行動をとれるかが鍵だと思われる。まぁ癖を見抜くことも大事であろうけど…

そんな中で基本的な統計分析が出来るようになるそんな本である。しかし、ほんとに基礎的なものなので、次は少しレベルアップしたものを呼んでみたいと思う。

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