書評・本
ソマティック・マーカー仮説と意思決定について/感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ
posted in 22:38 2013年12月29日 by 涼微
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情動と脳科学といえば、エモーショナル・ブレイン―情動の脳科学という本があり、個人的にも読むだろう候補なんだけれども、ふと感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザが目に入ったので、ぱらぱらっと読んだ。
まず、筆者のダマシオが本書で語る情動や感情という言葉は一般的・辞書的に考えられている(急激で強いものは情動、そうでないものは感情)ものと違って、下記のようなものらしい、
p4
それらは「生命調整」という、有機体のもっとも重要な、そしてもっとも基本的なプロセスの中でいわば因果的につながっていて、情動は「身体」という劇場で、感情は「心」という劇場でそれぞれ演じられる。たとえば、われわれが何か恐ろしい光景を目にして恐れの「感情」を経験する場合を考えてみる。その場合、体が硬直する、心臓がドキドキする、といった特有の身体的変化が生じるが,身体的変化として表出した生命調整のプロセスが、ダマシオの言う「情動」(この場合は「恐れの情動」)だ。一方、脳には、いま身体がどういう状態にあるか刻一刻詳細に報告され、脳のしかるべき部分に対応する「身体マップ」が形成されている。そしてわれわれが、その身体マップをもとに、ある限度を超えて身体的変化が生じたことを感じるとき、われわれは「恐れの情動」を経験することになる。
続いて、「ここで重要なのは、一般的に考えられている順序とは逆で、『怖いと感じるから、その結果として身体が硬直したり心臓がドキドキしたりする』のではなく、『怖いものを見て特有の身体的変化が生じるから、「そのあとに」怖さを感じる』のである。」
という趣旨のことが書いてあるが、「感情より身体的な反応が先にくる」という説はここ数年けっこう聞くようになっていると感じるのだが、と思って出版年を確認したら2005年に出版された本だったので、この本が原書で書かれた当時はあまり語られてなかった仮説なのかもしれないと思うなど。
ところで、先の引用に書かれている「身体マップ」といえば、脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけという本もあり、これを読むことにより言ってることの理解が深まるのかも。
本題に戻って、生命の維持のために有機体には「ホメオスタシス調整」という機能が備わっているが、ダマシオはその進化的にもっとも高い(新しい)レベルの調整機能が感情であり、そのすぐ下にあるものが情動であると考えている。これはつまり、ゾウリムシなどの単細胞生物にも見られるダマシオの言う身体的な情動反応から、高等動物や人間に見られる感情反応まで、それらは生命維持のためのホメオスタシス調整機能として働いているということになり、情動や感情の役割について考える際の基盤になる。
そうして、こういった役割から推論してダマシオが生み出したのが「ソマティック・マーカー仮説」で、引用すると次のようなものである。
p7
われわれの日常生活は、「さて、つぎはどうするべきか?」という、考えられる多数の選択オプションの中から妥当なものを一つだけ選択する「意志決定」の連続からなっている。普通、最善の意志決定は「合理的、理性的」になされると考えられるが、ダマシオはそうは考えない。もしわれわれが多数のオプションを一つひとつ合理的に検討し、そうやって最善の一つを選択しているのだとすると、あまりにも時間がかかりすぎるからだ。実生活において妥当な選択が比較的短時間でなされるのは、特定のオプションを頭に浮かべると、たとえかすかではあっても体が反応し、その結果たとえば「不快な」感情が生じ、そのためそのオプションを選択するのをやめ、こうしたことがつぎつぎと起きて、多数のオプションがあっという間に二つ、三つのオプションまで絞り込まれるからであり、合理的思考が働くのはそのあとのこと、とダマシオは考えている
意志決定の際の、合理的な判断が下される前に感情的な判断がなされる時点においてその基準になるのは過去の経験で、次のような過程で形成される。
p8
過去にわれわれがオプションXを選択して悪い結果Yがもたらされ、そのために不快な身体状態が引き起こされたとすると、この経験的な結びつきは前頭前皮質に記憶されているので、後日、われわれがオプションXに再度身をさらすとか結果Yについて考えると、その不快な身体状態が自動的に再現されるからだという。
ソマティック(somatic)には身体のという意味があり、Somatic markerを訳すと過去の選択から引き起こされた感情が身体(somatic)にmarker(標識)として埋め込まれるぐらいの意味なんだろうと思う。ソマティックマーカー仮説について、日本語の情報はあまりweb上に存在していないけど、英語情報ならwikipediaのSomatic markers hypothesisなどがあり、進化論的な証拠についてやソマティックマーカー仮説に関する実験のアイオワ・ギャンブリング課題(Iowa Gambling Task)が載っている。
さて、ここまで書いたことについて簡単にまとめると、ホメオスタシス調整としての機能を持つ身体的反応としての「情動」と心の反応としての「感情」があり、情動反応によって生み出される感情は、一度起こった身体的な反応に対する快/不快を記憶し、次回同様な身体的な決定事項の際に、感情が呼び起こされ意志決定の際の重要な基準になるということになる。
ところで、合理的・感情的な意思決定について考える際に、最近では行動経済学のフレームークが使われることが多いけれども、行動経済学以前の前提である感情を無視して人は合理的な選択をするものだという前提を現実の個人に当てはめて考えてみると、人は集めなければならない情報の多さに辟易してまうだろう。だから、擬似的に合理的に選択するための基準として心理学用語としてのヒューリスティック(暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則)を用いることがあるが、ソマティックマーカーを用いた意思決定はこういったヒューリスティックの中の「感情ヒューリスティック」に類似しているなと思った。
心理学と意思決定を絡めた本で言えば、例えば印南 一路氏のすぐれた意思決定―判断と選択の心理学があり、他に類書はないかなと思って探すと、行動意思決定論―経済行動の心理学という本が中々面白そうで興味をかき立てたてられる。
とまぁ、色々と話題が飛んだわけだけれども、本日の情報探索行動はこの辺にて。感情/情動/脳/意思決定を高いレベルで結びつけたら、日常的な範囲においても色々と応用できて普段の行動過程について再考できるので面白かったりする。
運動が脳に多大な好影響を及ぼす - 脳を鍛えるには運動しかない!
posted in 13:26 2011年01月13日 by 涼微
自分にとって人生を少し良い方向に変えた一冊の紹介
運動の良い点は体に良いということより、むしろ脳に良いということにある。そもそも、現代の人類は狩りも採集もしていないので一日のうちで運動している時間がかなり少ないが、それは人類の歴史から見ると異常なことであり、体のあちらこちらで問題が起こっているらしい。そして、その変化は視覚的には体に見て取れるが、本当に深刻な問題は脳が縮んでいることであると筆者は言う。
脳を最高の状態に保つためには体を精一杯動かさなければならない。運動をすると、脳の学習機能を支える基本要素の強化や気分や不安、注意力への好影響、そしてストレスの軽減などが期待できる。また、運動をすると、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが増える。
そして、強いストレスを受けると脳の何十億というニューロンの結合が蝕まれたり、うつの状態が長引くと脳の一部が萎縮してしまうが、運動をすれば神経化学物質や成長因子がつぎつぎに放出されてこのプロセスを逆行させ、脳の基礎構造を物理的に強くできるというのだ。
本書の内容はまず第一章で運動を積極的に活用しているアメリカの学区の事例を取り上げた後、学習、ストレス、不安、うつ、注意欠陥障害、依存症、ホルモンの変化、加齢、鍛錬という順番に運動の効果についての話題を語っていく。
例えば、学習に関する運動の有効性はまずラットにより発見されBDNF(ニューロンの回路を構築し、維持している因子)と運動に関する研究が積み重ねられていった。それは、BDNFはニューロンの存続だけでなくその成長にも必要で、ゆえに学習にとっても重要だというものだった。そして、2007年にドイツの研究者グループの人間を対象とした研究の結果(運動前より運動後の方が20%早く単語を覚えらた)により学習効率とBDNF値が相関関係にあることが明らかになる。
また、BDNFはシナプスの近くに蓄えられIGF-1(インスリン様成長因子)、VEGF(血管内皮成長因子)、FGF-2(繊維芽細胞成長因子)といったホルモンにより放出の手助けを受ける。そして重要なことに、これらの因子も運動によって放出が促進される。これは古来わたしたちが学習能力が必要なのは食物を見つけるためであるので、体を動かすことで学習能力が促進されるのは確かに理にかなっているといえる。
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自分の脳の仕組みを十分に知っていれば、人生を変えることができる。なにか感情的な問題を抱えていたとしても、それに生物学的根拠があるとわかっていれば、罪悪感を覚えなくてすむし、さらにその生物学的作用をコントロールする方法を知っていれば、無力感にさいなまれなくてすむ。 p12
運動の良い点は体に良いということより、むしろ脳に良いということにある。そもそも、現代の人類は狩りも採集もしていないので一日のうちで運動している時間がかなり少ないが、それは人類の歴史から見ると異常なことであり、体のあちらこちらで問題が起こっているらしい。そして、その変化は視覚的には体に見て取れるが、本当に深刻な問題は脳が縮んでいることであると筆者は言う。
脳を最高の状態に保つためには体を精一杯動かさなければならない。運動をすると、脳の学習機能を支える基本要素の強化や気分や不安、注意力への好影響、そしてストレスの軽減などが期待できる。また、運動をすると、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが増える。
そして、強いストレスを受けると脳の何十億というニューロンの結合が蝕まれたり、うつの状態が長引くと脳の一部が萎縮してしまうが、運動をすれば神経化学物質や成長因子がつぎつぎに放出されてこのプロセスを逆行させ、脳の基礎構造を物理的に強くできるというのだ。
本書の内容はまず第一章で運動を積極的に活用しているアメリカの学区の事例を取り上げた後、学習、ストレス、不安、うつ、注意欠陥障害、依存症、ホルモンの変化、加齢、鍛錬という順番に運動の効果についての話題を語っていく。
例えば、学習に関する運動の有効性はまずラットにより発見されBDNF(ニューロンの回路を構築し、維持している因子)と運動に関する研究が積み重ねられていった。それは、BDNFはニューロンの存続だけでなくその成長にも必要で、ゆえに学習にとっても重要だというものだった。そして、2007年にドイツの研究者グループの人間を対象とした研究の結果(運動前より運動後の方が20%早く単語を覚えらた)により学習効率とBDNF値が相関関係にあることが明らかになる。
また、BDNFはシナプスの近くに蓄えられIGF-1(インスリン様成長因子)、VEGF(血管内皮成長因子)、FGF-2(繊維芽細胞成長因子)といったホルモンにより放出の手助けを受ける。そして重要なことに、これらの因子も運動によって放出が促進される。これは古来わたしたちが学習能力が必要なのは食物を見つけるためであるので、体を動かすことで学習能力が促進されるのは確かに理にかなっているといえる。
怒り、イラつきをコントロールする [書評] アンガー・マネジメント
posted in 23:32 2010年12月10日 by 涼微
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人が怒り、苛ついてしまうことはしょうがないこととして、それを上手く制御する方法はないものか、そんなことを昨日のTwtterの発言を元に考えていると、そういえばこの本を持っていたことを思い出したので読んでみることにした。以下、初めに怒りについての分析から。
まずは、同じ「出来事」に対してでも置かれている状況が違えば、人はまったく違う感情をもつことができる。ここから、人を怒らせているものの正体は「出来事」それ自身ではなく、その人自身の考え方、つまりその出来事に対して自分の確たる基準(コアビリーフ)と照らし合わせてどういう意味づけを行ったかにあるといえる。
一つの事柄に対して、いろいろな人がそれぞれの立場から自分の基準を優先させようとするとそれは衝突となる。自分が「当然」と思っている考えが相手と対立したとき苛つきが生まれるのは誰しも経験があるだろう。そこで、この怒りをどのようにすれば上手く制御・活用できるようになるのか、それがアンガーマネジメントの本題になってくる。
アンガーマネジメントでは、上記で述べた自分の確たる基準(コアビリーフ)を把握することが大切になる。これを把握することでなぜ自分が苛つきをおぼえているのか分析できるようになる。そして、この基準を把握することで可能になる「認識の修正」ともう一つ「行動の修正」こそがアンガーマネジメントの肝である。
具体的な方法論については、その科学が成功を決めるを読んで以来、個人的にこの種の本を判断する際に基準としている「多くの人間にその方法論を実践して効果があるかどうか確かめたのか?」という部分の確信が持てないため、多くは本書に譲るとして、個人的にこれは参考になりそうだなと思った部分を挙げるとすると、怒りを感じた際にその怒りについての出来事や考えたこと・行動・結果などの「アンガーログ」をとり、その後それらの怒りについて分析するという方法論に関する項目で、頭の中で考えるよりも紙に書いて視覚化した方が分析しやすいというのは確かにそうだろうと思う。例えばこのログをTwitterを利用してとり、そのログから自分の怒りの原因や癖について分析し、「認識と行動の修正」に役立てるというのはどうだろう。
本書の難点としては、ビジネス・実用書にはありがちだが統計的・科学的根拠が乏しいという点である。こういった根拠の乏しい本に対しては自分で実際に活用して効果があるかどうかが重要になるので、読んで終わりとしないように心掛けたい。
600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネスと集合知的なコンテンツビジネス
posted in 14:03 2010年08月25日 by 涼微
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・抜粋した文章:600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス - 涼ペディア
利用者の分布を見ると、その殆どを25〜50歳の年齢の女性で占めているというクックパッド。人気の秘密は、技術力の高さを駆使して、例えば、表示速度が早いなどのユーザビリティが良い点や、表示方法を工夫し作りたいと思う料理を見つけやすいといったレシピの検索性の良さなどが本書で挙げられているが、私が目を引いたのはクックパッドにレシピが投稿される理由が書かれた下記の部分だ。
p15
もちろん世の中には料理が好きな人はたくさんいるわけだが、ではなぜ彼女たちは料理が好きなのかといえば、やはり食べてくれる人が「おいしい」といってくれるからだ。
(中略)
だが、実際にはどうだろう。「おいしい」といってもらえる機会は、日常の生活でどれほどあるだろう。家庭で家族のために料理を作る。それを食べる家族が「おいしい」と毎日きちんと反応してくれるかどうか。友だちを招いてパーティをし友達に料理をふるまう機会もある。しかし、そんなことが年に何度あるだろう。
自分の料理の「おいしい」を、自分のレシピという形で、世の中の大勢の人たちに写真付きで見せることができる。“リアル”な日常ではありえない料理を作る楽しみを、クックパッドなら実現できる、ということだ。
つまり、クックパッドのメインコンテンツとなる投稿レシピは何をモチベーションとして日々投稿されているのかというと、日常ではなかなか満たされることのない自分が作った料理に対する反応を、クックパッドでレシピを公開し、他のユーザーからレスポンスをもらうことで満たそうとしているからだと言えるらしい。
狭い日常ではなかなか得られない体験をインターネットを通すことで提供しようとする方法はネットの特性を上手に使っていて良い方法だと思う。というか、寧ろ当たり前すぎて普段は特に意識していないのかもしれない。だから意識的に、この方法をベースにして他にも何か応用されている分野があるのではないかと考えてみる。
例えば、自分の制作物をみんなに評価してもらいたいという観点から見るとニコニコ動画やpixivはその典型であるし、Amazonで楽天で商品レビューを投稿する人も同様に大勢の人に意見を発信することで、金銭は得られないが満足感を得ているものと考えられる。
こうした満足感の集積は、まさに「集合知」ができ上がる過程だと言える。人々がウェブに積極的に投稿したくなるような物語を考え、その受け皿となる仕組みを作ることは、この種のコンテンツビジネスを成功させるうえで一つのパターン化された考え方であろう。
Twitterに関する雑感と読書日記 楽しみの社会学/「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
posted in 06:17 2010年07月01日 by 涼微
ここ数ヶ月はブログを書かず何か書くとしたら、取り敢えずTwitterに書いてきたわけだけれども、140字はあまりに窮屈すぎる!というかそもそもあまり真面目な内容ばかりを書くのに適した場所でもないとは前から薄々気付いてはいたのと、それとHTMLを使って書く方が視覚的にもいいやと思ったのでこれからは何か書くとしたらブログに書いていくことにした。
何かを書いて公表する以上、他人にどう読まれるかを全く気にしていないということはないのだけれど、何か文章を書くことが自分のためにもなるならば、それはTwitter的なフローな場に書くよりもよりストックな場に書いた方が良いし、それと主にブログで書くよりTwitterで書く方が合っているのはどういった人たちなのかについて考えると、あまりフォロワー数が多くない人にとっては交流の場として、そしてある程度フォロワー数が多くなるとそれプラス宣伝の場として使う人たちではないかと思うので、そのどちらでもなければブログで書けばいいんじゃないのと思った次第。
もっとも、別に交流が嫌いとかそういうわけではないのだけれどあの140字という限られた字数の中で交流しようとするのはそもそも誤解を生じさせやすく、きっちりと意見を書こうにもあまりにも窮屈なのでいまいちreplyを飛ばそうという気も失せてしまう。
とはいえ、別にブログとTwitterのどちらを使うかという二元論で語る気もないので、またTwitterに面白さを見いだせたら使う頻度が高まるかもねという程度のお話であり、特にどこかに固執する必要もないとは思っているし、そういった態度は発想も固まりやすく危険だ。
楽しみの社会学
この辺の理論に関しては不勉強なのですけど、「欠乏モデル」とフロイトのリビドーのつながりはあぁそういうことねと思い、それと同時に何か欠乏していないと快楽が生じないのは直感的にずれてるよなと思った記述。
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
普段、ニュースで目にする様々な社会調査に対してどういった観点から疑っていけばよいのかという視点を提供してくれる良書。自分も全ての社会調査に対して適切に誤っている点を指摘できる自信はないが、それ以上に調査結果を鵜呑みにしてしまう人が多く、まっとうな方法で調査した結果を公表するよりも「ウソ」の調査結果を公表することが得だと分かっていて意識的にそうしている人が多数存在していると思うと何ともいえない気分になる。
そしてその際に取れる態度は、自分も知識を付けそういった悪用する流れに乗って社会調査を利用しようとする態度とできるだけ多くの人に調査結果に対するリテラシーを啓蒙して悪用しても得にならないように努めようという態度があると思うのだけれど、どちら側に立つかは個人の価値観やらどうするのが自分にとって得かなど色んな思惑が働くのだろう。こういった行動に関してはゲーム理論で分析できそうな気がする。
それにしても、税金を無駄遣いにしてまで自分達の都合のいいような調査をしようというのは何ともひどいものだ。「カネ」が動く状況では恣意的な思惑が多分に働いている。
何かを書いて公表する以上、他人にどう読まれるかを全く気にしていないということはないのだけれど、何か文章を書くことが自分のためにもなるならば、それはTwitter的なフローな場に書くよりもよりストックな場に書いた方が良いし、それと主にブログで書くよりTwitterで書く方が合っているのはどういった人たちなのかについて考えると、あまりフォロワー数が多くない人にとっては交流の場として、そしてある程度フォロワー数が多くなるとそれプラス宣伝の場として使う人たちではないかと思うので、そのどちらでもなければブログで書けばいいんじゃないのと思った次第。
もっとも、別に交流が嫌いとかそういうわけではないのだけれどあの140字という限られた字数の中で交流しようとするのはそもそも誤解を生じさせやすく、きっちりと意見を書こうにもあまりにも窮屈なのでいまいちreplyを飛ばそうという気も失せてしまう。
とはいえ、別にブログとTwitterのどちらを使うかという二元論で語る気もないので、またTwitterに面白さを見いだせたら使う頻度が高まるかもねという程度のお話であり、特にどこかに固執する必要もないとは思っているし、そういった態度は発想も固まりやすく危険だ。
楽しみの社会学
人間の動機づけに関するほとんどの理論は、生理的に楽しい状態は限られたものでしかない、という仮定にたつ「欠乏モデル」に基づいている。このモデルによれば、行動とは単に基本的欲求の充足へと志向する先天的、あるいは後天的な一連の反応にしかすぎない。 (中略) フロイトにとってリビドーは、すべての快楽の源泉であった。しかし、社会生活が要求するものと、リビドー的欲望とが葛藤するところから、文明にとって不満は宿命的なものである。 (中略) しかし、遊びの研究は、動機づけに関する異なった図式を提起する。人は閉鎖モデルが予言する、いかなる報酬も生まない数多くの活動に没頭している人びとに出会い、やがて、ほとんどどのような目的や経験も楽しいものになり得ることを認識しはじめる。
この辺の理論に関しては不勉強なのですけど、「欠乏モデル」とフロイトのリビドーのつながりはあぁそういうことねと思い、それと同時に何か欠乏していないと快楽が生じないのは直感的にずれてるよなと思った記述。
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
普段、ニュースで目にする様々な社会調査に対してどういった観点から疑っていけばよいのかという視点を提供してくれる良書。自分も全ての社会調査に対して適切に誤っている点を指摘できる自信はないが、それ以上に調査結果を鵜呑みにしてしまう人が多く、まっとうな方法で調査した結果を公表するよりも「ウソ」の調査結果を公表することが得だと分かっていて意識的にそうしている人が多数存在していると思うと何ともいえない気分になる。
そしてその際に取れる態度は、自分も知識を付けそういった悪用する流れに乗って社会調査を利用しようとする態度とできるだけ多くの人に調査結果に対するリテラシーを啓蒙して悪用しても得にならないように努めようという態度があると思うのだけれど、どちら側に立つかは個人の価値観やらどうするのが自分にとって得かなど色んな思惑が働くのだろう。こういった行動に関してはゲーム理論で分析できそうな気がする。
それにしても、税金を無駄遣いにしてまで自分達の都合のいいような調査をしようというのは何ともひどいものだ。「カネ」が動く状況では恣意的な思惑が多分に働いている。
ここ数ヶ月で買ってほぼ未読の面白そうな本 行動ファイナンス・哲学・元素・鏡・脳
posted in 05:48 2010年03月07日 by 涼微
本というのは買ってみて面白くなかったり読み終わったりしたら、多少手間が掛かっていいならAmazonのマーケットプレイスで売ればいいし、面倒くさかったら近くの古本屋で売却したりブックオフオンラインの宅本便で送ってしまえばいいしということで(*1)、古本で買えばまぁそこまで出費がかさむわけでもないし、知識や考える力が付いたり安価にある程度の期間を楽しむことができるという点で、お金を使う対象としては割と優れてるんじゃないかなと思うわけですよ。
まあ前置きはこのくらいにしておいて、ここ三ヶ月ほど面白そうだなと思った本を実店舗なりネットなりの古本屋やネットオークションで見掛けたら取り敢えず買うということをやっていて、ぼちぼち所持数が増えてしまったので本棚の整理がてら面白そうな本をピックアップしてみようと思いますよ。
1,図解でわかる ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて
たしかブックオフで定価の半額で買った本。専門書なんだけれどざっと見た感じそこまで難しく書かれていない感じかな。まあ行動ファイナンス本を一冊ぐらい持っておきたいと言うことで。
2,反哲学史
反哲学者木田元さんの本。どうも私がテレビ見るなら大体この番組という爆笑問題のニッポンの教養に出演なさってるみたいだけどこの回はまだ見てないわ。
3,元素の小事典
いちおう岩波ジュニア新書ということなのだけど、大人が読んでも普通に面白そう。それぞれの元素をざっと2〜4ページずつぐらいで紹介してる。
4,鏡の歴史
481ページあるなかなかの大著。鏡に興味があるというよりも、身近な一つのテーマについていろんな角度から調べ上げる手法を見てみたいなと思いまして。
5,天才の脳科学―創造性はいかに創られるか
いわゆる”天才”がどんな習慣や性質を持っているかというのはやっぱり興味あるもので、その手がかりに少しでもなればいいかなと思って。この著者はアメリカ人女性なのだけど、脳・神経関係の知識だけでなく文学への造詣も深かったりで少し角度が違った考察もあったりで面白い。
まだまだかなりあるのだけど、本を片付けながらで疲れたので続きはまた気が向いてからということで。
*1:ちなみに最近、ブックオフオンラインの宅本便とイーブックオフのらくらく買取に35冊ずつぐらい買取申し込みをしてみたので、気が向いたら買取結果を書くかもしれません。
まあ前置きはこのくらいにしておいて、ここ三ヶ月ほど面白そうだなと思った本を実店舗なりネットなりの古本屋やネットオークションで見掛けたら取り敢えず買うということをやっていて、ぼちぼち所持数が増えてしまったので本棚の整理がてら面白そうな本をピックアップしてみようと思いますよ。
1,図解でわかる ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて
たしかブックオフで定価の半額で買った本。専門書なんだけれどざっと見た感じそこまで難しく書かれていない感じかな。まあ行動ファイナンス本を一冊ぐらい持っておきたいと言うことで。
2,反哲学史
反哲学者木田元さんの本。どうも私がテレビ見るなら大体この番組という爆笑問題のニッポンの教養に出演なさってるみたいだけどこの回はまだ見てないわ。
3,元素の小事典
いちおう岩波ジュニア新書ということなのだけど、大人が読んでも普通に面白そう。それぞれの元素をざっと2〜4ページずつぐらいで紹介してる。
4,鏡の歴史
481ページあるなかなかの大著。鏡に興味があるというよりも、身近な一つのテーマについていろんな角度から調べ上げる手法を見てみたいなと思いまして。
5,天才の脳科学―創造性はいかに創られるか
いわゆる”天才”がどんな習慣や性質を持っているかというのはやっぱり興味あるもので、その手がかりに少しでもなればいいかなと思って。この著者はアメリカ人女性なのだけど、脳・神経関係の知識だけでなく文学への造詣も深かったりで少し角度が違った考察もあったりで面白い。
まだまだかなりあるのだけど、本を片付けながらで疲れたので続きはまた気が向いてからということで。
*1:ちなみに最近、ブックオフオンラインの宅本便とイーブックオフのらくらく買取に35冊ずつぐらい買取申し込みをしてみたので、気が向いたら買取結果を書くかもしれません。
苫米地英人とその著作について - テレビは見てはいけない/苫米地英人
posted in 23:49 2010年01月03日 by 涼微
テレビは見てはいけない
目次
第一章 テレビは見てはいけない
第二章 脱・奴隷の生き方
第三章 日本人はなぜお金にだまされやすいのか
・読書記録の抜き書きはこちら - テレビは見てはいけない:涼ペディア
実は私は本書を二回読んだのですが、一回目は買ってすぐ去年の9月末あたり(*1)、二回目は面白いと思った箇所を上記のリンク先のページに記録しておくために去年の年末辺りから。
初め読んだ際には著者の苫米地英人氏のことをあまり知らなくて、「何だか内容の薄そうな著作を量産している胡散臭い人だな」ぐらいにしか思ってなかったのですが、二回目を読むまでに色々と著者についての情報が入ってきていたので(*2)、「割と面白い人かもしれない」と思いつつ二回目は読みました。
本書の内容は一言で言うと、「洗脳」の話を軸にして各々の章のテーマに沿って色々と書いてあるというものなのですが、氏の他の著書はきっちり読んだことはないながらもAmazonのレビューなどを参考に推測すると、恐らく他の著書も大体似たような形式(洗脳の話を軸にテーマについて言及する)で書いてあるんじゃないかと思われます。だから、著作を量産している人にありがちな、著作間で重複している箇所が結構な割合で存在しているという現象が起こっているのではないかと。
Amazonで氏の名前で検索すると(苫米地英人)、いわゆる「自己啓発」に関して書かれた書籍が多いかなという印象を受けます。これこそが見る人から見たら「胡散臭そう」という印象を与えてしまう要因なのかもしれませんが、以前見た「博士も知らないニッポンのウラ」において著者いわく、ターゲットをあえてそこに絞ってやっているそうな。つまり、大多数の今一つ冴えない人たちが手に取りそうな外装にし、本を読むことでその人たちの意識が少しで上向けばそれでいいんじゃないのという。
私が氏のそういった意図で出版した本をさらっと読む限りでは、はずれ本が多い「自己啓発」とういうジャンルの中において、彼の著作はその主張する根拠が学問的にも実践的にも割としっかりしている方だとは思います。
氏の著作はレビューもたくさんついてることですし、それを参考にして一冊ぐらい読んでみるのもいいかもしれません。つまらなかった場合のクレームは苫米地氏のブログでどうぞ。あ、でもブログコメントは実名を推奨しているらしいですけど。
*1:読んだ当時のTwitterログ - http://twitter.ryoubi.com/?p=135
*2:例えば、「博士も知らないニッポンのウラ」の動画など。今でも検索すると動画サイトで見ることができます。
目次
第一章 テレビは見てはいけない
第二章 脱・奴隷の生き方
第三章 日本人はなぜお金にだまされやすいのか
・読書記録の抜き書きはこちら - テレビは見てはいけない:涼ペディア
実は私は本書を二回読んだのですが、一回目は買ってすぐ去年の9月末あたり(*1)、二回目は面白いと思った箇所を上記のリンク先のページに記録しておくために去年の年末辺りから。
初め読んだ際には著者の苫米地英人氏のことをあまり知らなくて、「何だか内容の薄そうな著作を量産している胡散臭い人だな」ぐらいにしか思ってなかったのですが、二回目を読むまでに色々と著者についての情報が入ってきていたので(*2)、「割と面白い人かもしれない」と思いつつ二回目は読みました。
本書の内容は一言で言うと、「洗脳」の話を軸にして各々の章のテーマに沿って色々と書いてあるというものなのですが、氏の他の著書はきっちり読んだことはないながらもAmazonのレビューなどを参考に推測すると、恐らく他の著書も大体似たような形式(洗脳の話を軸にテーマについて言及する)で書いてあるんじゃないかと思われます。だから、著作を量産している人にありがちな、著作間で重複している箇所が結構な割合で存在しているという現象が起こっているのではないかと。
Amazonで氏の名前で検索すると(苫米地英人)、いわゆる「自己啓発」に関して書かれた書籍が多いかなという印象を受けます。これこそが見る人から見たら「胡散臭そう」という印象を与えてしまう要因なのかもしれませんが、以前見た「博士も知らないニッポンのウラ」において著者いわく、ターゲットをあえてそこに絞ってやっているそうな。つまり、大多数の今一つ冴えない人たちが手に取りそうな外装にし、本を読むことでその人たちの意識が少しで上向けばそれでいいんじゃないのという。
私が氏のそういった意図で出版した本をさらっと読む限りでは、はずれ本が多い「自己啓発」とういうジャンルの中において、彼の著作はその主張する根拠が学問的にも実践的にも割としっかりしている方だとは思います。
氏の著作はレビューもたくさんついてることですし、それを参考にして一冊ぐらい読んでみるのもいいかもしれません。つまらなかった場合のクレームは苫米地氏のブログでどうぞ。あ、でもブログコメントは実名を推奨しているらしいですけど。
*1:読んだ当時のTwitterログ - http://twitter.ryoubi.com/?p=135
*2:例えば、「博士も知らないニッポンのウラ」の動画など。今でも検索すると動画サイトで見ることができます。