認知的不協和と不快な認知のゆがみを低減・解消させる5つの方法
posted in 22:38 2013年12月29日 by 涼微
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「認知的不協和理論」とはレオン・フェスティンガーが発見した概念で、「認知」(自己と自己の周囲に関する信念、態度、意見など)が「不協和」(ある二つの関連する認知要素のうち、一つの認知要素からもう一つへの認知要素への帰結が矛盾する状態)なとき、人はその不快な認知のゆがみを低減または解消するために、認知に一貫性を保とうと努力する心理作用のことです。
例えば、このページにいくつか例が載っている中から煙草の例を使用すると、
煙草には害があるのでやめた方が健康によいという認知
と
自らすすんで病気にはなりたくないが簡単には煙草をやめられないという認知
という二つの認知にゆがみが生じて不快な気分になります。
もう一つ挨拶の例を取り上げると、
自分はあいさつした親友とは仲が良いと思っているという認知
と
仲が良いならあいさつを返してくれるはずだが返してくれなかったという認知
という二つの認知にゆがみが生じます。そして認知にゆがみが生じた時、人は何らかの方法を用いて認知に一貫性を持たせ安定状態にさせようとします。
その認知を安定状態にするために認知的不協和を低減・解消方法の5つのパターンが説得と影響―交渉のための社会心理学に掲載されていたので、ここに書き出してみます。
(1)自己の態度を変化させる
(煙草の例)煙草を吸わないようにする
(挨拶の例)相手の機嫌が悪かった等の理由で親友でもあいさつを返さないこともあると認知する
(2)他者に働きかけて他者の態度を変える。
(煙草の例)煙草は健康に良いという調査結果が出るように調査を要求する
(挨拶の例)今度はあいさつを返してもらえるようにもう一度あいさつをする
(3)その問題自体を忘れてしまう。
(煙草の例)煙草は健康に良いか悪いかということを忘れ去る
(挨拶の例)あいさつを返してもらえなかった問題を忘れ去る
(4)その問題を自分とは無関係のものにしてしまう。
(煙草の例)健康問題は自分には関係ないこととする
(挨拶の例)あいさつを返してもらえようともらえまいと自分には関係ないことにする
(5)認知(選択肢)間の魅力の格差を増大させる。
(煙草の例)煙草を吸うことは素晴らしいことであるという情報を集め、悪影響を及ぼすという情報を無視する
(挨拶の例)あいさつした自分の素晴らしい点と、あいさつしなかった相手の駄目な点を考え、あいさつを正当化する
例によっては、多少無理のある方法もありますが、認知的不協和を低減・解消させる基本的な5つのパターンは上記の通りになります。
この5つのパターンの中で複数の選択肢から何らかの選択する場合の認知的不協和を低減・解消させるために起こりやすいのが、5番目の認知(選択肢)間の魅力の格差を増大させるで、その場合選択したことに対する魅力的な情報を納得がいくまで収集し、選択しなかったことに関する情報は可能な限り無視する等の方法により自分が選択したことを正当化しようとします。
そして、選択的な判断が要求される場合の認知的不協和の強度は次の3つの要因により決定されます。
(1)選択肢の相対的魅力
一般的に選択は魅力の大きい方を選ぶべきであるという仮定が成り立っているので、選択肢間の魅力が同程度、もしくは選択しなかった方が魅力的であると不協和は大きくなる。
(2)問題解決の重要性
選択する人にとって重要な問題であるほど,選択後の不協和は大きくなる。例えば、就職する会社を決める選択と晩ご飯に何を食べるかという選択では問題の重要度が大きく異なる。
(3)選択肢間の認知的重複
選択肢の認知が重複していない方が不協和は大きくなる。例えば、大学卒業後に就職するか大学院に進学するかという決定は、どの大学院に進学するかという認知が重複した選択より不協和は大きくなる。
認知的不協和は日常的によく起こるものなので、その性質と基本的な低減・解消方法を知っておくと、認知的不協和が起こっている状態に自覚的になり、その場合の対処も立てやすくなると思います。
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