日本経済を学ぶ/岩田 規久男
採点
80点
項目
第1章 戦後復興から高度経済成長期まで
第2章 バブル景気から「失われた一〇年」へ
第3章 日本的経営とその行方
第4章 日本の企業統治
第5章 産業政策と規制改革
第6章 構造改革と少子・高齢化
第7章 日本経済の課題と経済政策
こんな人にお勧め
戦後から2004年までの日本経済の基礎的な部分をざっと見直したい人。
内容のレベル
6
(書評)日本経済を学ぶ
本書の特徴を簡潔にいうと、日本経済に無知な者でも分かり易い様に、戦後から現在までの日本の状況や政策の要点が説明してある本であると言える。
そのまんまの意味なので特に補足する必要も無いと思うが、例えば、「石油ショック」だとか「日本的経営」または「高度経済成長」といった日本人なら一度は習ったり、耳にしたことがあると思われる、過去に日本が歩んできた経済史をある程度詳細に網羅している。
しかし、上に挙げた時代に生きていない若者にとっては、個々の言葉を聞いたことはあっても、実際にその時代を経験していないので実感が沸かないのではないだろうか。結局は本というのは、字という媒体を通してしか伝えられないのだが、少なくとも本書は高校の教科書よりも詳しいので、大学初期の学生等の経済を分かっている様で実は分かっていないあの時期の人に一番有効な本なのではないかと思われる。だから、経済に強いと自任している人は知識の補完の意味で読んでみたらよいのではないでしょうか。
また、本書では1,2年前の小泉首相時代の政策、例えば郵政民営化等について等も触れられている。あの頃いまいち理解できなかった人はまだ遅くはないから、ぜひ本書を読んでみるべきである。
ところで、著者の岩田氏は熱心な低インフレ論者である。というのも氏の主張するところは、政府の財政政策と日銀の金融政策により経済成長率を毎年約3%成長のいわゆる低インフレを維持することが、今の世界の主流であり、またその政策によって実際安定的な成長をしている国があることを論じ日本もそうすべきだという。
また、そのためには政府は市場に介入すべきではないという立場を取っている。というのも、結局は政府が市場に投資するお金は、議員自分自身が払うお金ではなく、税金や国債で集めたお金を使うわけだから、お金の使い方が悪くても大して痛みを伴わないので、真剣身に掛け無駄遣いをするからだそうである。
なるほど、わたしは本書を読んでいる限りでは低インフレに賛成なのだが、また違った視点の考え方も考慮したいので、これからもいろんな経済書を読んでいくことになるのだろう。
最後に
表紙には、たびたび話が脱線すると出ていたが、あんまり脱線していなかった様な気もする。つまり、しっかり本筋を捉えていたと言い換えることが出来るのではないでしょうか。
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今後ともよろしくお願い致します。