手紙/東野 圭吾
posted in 17:38 2006年12月22日 by 涼微
採点
65点
内容
主人公の兄が、殺人をおかしてしまうのだが、その後主人公がどうなって言ったかを追っていく小説。
あらすじ(「BOOK」データベースより)
強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。
読んだ動機
(あまり好きな動機ではないが)売れてたから。
こんな人にお勧め
1、東野小説を読みたい人
2、映画化してるらしいから話題についていきたい人
内容のレベル
7
加害者の家族について
初めに
例えば、殺人事件が起こって、犯人をニュースで見た時、その家族にまで思いをめぐらせる人はどれくらいいるだろうか?
薄情だと思うが、少なくともわたしは本書を読むまでは、犯人の名前と顔を見ても、続報があるなどして、もう一度目に入ることがない限り、その事件は数分で忘れてしまっていた。だから、その殺人者の近辺がどうなっているのかを深く考えたことはあまりなかった。というのも、普遍的な理由で申し訳ないのだが、自分には関係がないと思っていたからである。そもそも、自分に関係ない事を深く考える人はそうそういないし、そんな事をしていたら、時間がいくらあっても足りないのである。
加害者の家族について考えた事
そこで、一つの疑問が出てくるのだが、果たして殺人犯の身の周りの事を考えることは(損得で考える事でもないと思うが)プラスになるかどうかということである。
その点で一つの仮説が出てくるのだが、その(殺人犯の身の周りの)事を考えるともしかしたら、犯罪抑止力に繋がるかもしれないということである。
しかし、本当にそうだろうか?思うに、大多数の人は殺人を犯そうということは考えたりしないだろう。さらに、多くの衝動的な殺人においては、本書でもそうだが、人を殺そうとしていたのではないと考えられる。また、仮に人を殺めたら自分の周りがどうなるか考えれる余裕がある人が殺人を犯すのは、狂気の沙汰の領域であるとしか思えない。よって、絶対数の少ないと思われる殺人を起こそうかどうか迷っている人を抑止する、という点以外では甚だ疑問である。
ところで、犯人の身の回りを考える事は、道徳の面からすると、他人について考える機会が与えられるということでプラスなのは間違いなさそうである。なぜなら、他人のことを考えると往々にして、自己中心的な人間が減るからである。また、子供の頃から、他人の事を考えて行動しないといけないという事を存在意識に組み込んでおくことは、大事だと思う。もしそういった教育が徹底されていたら、他人に迷惑を掛けるマナーが悪い行為をしている場面で、ふと気付いて自制することができ出来るかもしれない。
この本を読むと、少なくともそういった加害者の家族の心や身辺について考える機会が与えられる。しかし、「一時的に感動してすぐ忘れました」というのでは、話にならない。その後いかに経験に活かすか、(例えばわたしの場合はこの本を読んでニュースを見た時、殺人犯の周りの事を考えるのが癖になってきている)が大事なのは言うまでもないだろう。
映画で話題とかを抜きにして、そういった観点から、みなさんも一読どうだろうか?
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1. 「手紙」東野圭吾 [ 日だまりで読書 ] 2006年12月26日 21:38
じっくりと考えさせられる作品でした。
★★★★★
弟の学費ほしさに盗みに入った家で家人に見つかり、衝動的に強盗殺人を犯してしまった兄、剛志。
突然、犯罪者の弟という烙印を押されることになった弟、
直貴。
この記事へのコメント
1. Posted by そら 2006年12月26日 21:48
TBありがとうございました♪
>この本を読むと、少なくともそういった加害者の家族の心や身辺について考える機会が与えられる。
そうですね。ホントにじっくり考えさせられました。
>この本を読むと、少なくともそういった加害者の家族の心や身辺について考える機会が与えられる。
そうですね。ホントにじっくり考えさせられました。
2. Posted by 涼微 2006年12月27日 03:48
コメント&トラックバックありがとうございますm(__)m
>けれども兄弟やその家族まで不当な扱いを受けることはやっぱり理不尽
これは、自分も思いましたよ。
でも人間、特に日本人は(直貴自身の環境も含めた)周りの環境に流されやすいものですからねぇ…
その環境と共存することは出来ないのであろうか?
環境を変えることでしか断ち切れないのであろうか?
という疑問はやっぱり、当事者にならないと分からないんでしょうね…
>けれども兄弟やその家族まで不当な扱いを受けることはやっぱり理不尽
これは、自分も思いましたよ。
でも人間、特に日本人は(直貴自身の環境も含めた)周りの環境に流されやすいものですからねぇ…
その環境と共存することは出来ないのであろうか?
環境を変えることでしか断ち切れないのであろうか?
という疑問はやっぱり、当事者にならないと分からないんでしょうね…