経営

経営学入門 上 日経文庫/榊原 清則 (7)

posted in 01:44 2007年08月22日 by 涼微
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一日ちょっとで終わるかと思ったら三日近く掛かってしまった。もっとも、終了予定というのは一般的にずれ込むものなので、予備日を設けておくなどして事前に覚悟しておくのが現実的だろう。

さて、今後また一日中文章を書く機会はいつ頃訪れるのか訪れないのか。


戦略論へのゲーム理論の応用

 

 以上においては、ポーターの競争戦略論を紹介してきましてきました。この競争では、勝者がいれば必ず敗者がいる競争です。しかし、現実では必ずしもそういうわけではなく、例えば、他企業の成功に助けられて成功する企業も数多く見られますこのような現象に光を当てるためには、ゲーム理論における補完財の概念が有効です。ゲーム理論を採用した新しい戦略論を展開したネイルバフトとブランデンバーガーのアイデアは「価値相関図」という枠組みに凝縮されています。これは、仝楜勠∪源才彖任龍ゝ觴圻6チ菫蠎雖な箚虻發鯆鷆,垢詈箚虻眄源瑳圓了佑弔当該企業を取り囲む枠組みです。この図に登場する全てのプレイヤーの間には、勝つか負けるかという競争の側面と、双方が勝つ協調の局面があります。これを「コーペティション」(競争と協調を合わせた造語)と言います。

 

ドメイン戦略論

 

組織がやり取りする特定の環境部分の事をドメインと言います。ドメインはまた組織の活動の範囲または領域の事であり、組織の存在領域とも言い換えられます。そのドメインの決定がドメイン戦略です。いま企業に着目すれば、企業のドメインは、製品やサービス、対象としている市場や顧客層や地域、その企業が研究し保有している技術の領域、等々によって記述することができます。ドメインは組織の活動の範囲や存在領域は組織の種類によっても、また特定の種類の内部でもさまざまです。

 ドメインという言葉の中には、活動の成果が売り上げや利益といった形で出てくるものはもちろん、活動の成果が見えず、その点でまだ潜在的な状態にとどまっているものも含まれます。たとえば、ある企業が、将来の事業展開をにらんだ、その意味で先行的な研究に、たくさんの研究者を従事させているとすると、たとえその成果が製品に具体化された形で市場に出ていなくても、その様な活動を含めてその企業のドメインなのです。そのような場合、俗に「含み」が多いとか「楽しみ」が多いという言い方をします。

 戦略論では、ドメインの事をとくに「戦略領域」という場合もあり、その意図は、企業の事業展開の方向やポテンシャルに着目し、めざすべき領域や範囲としてのドメインの側面をとくに強調したいからです。ドメインには、このような戦略領域としての側面と、すでに具現化された現実の事業領域としての側面とがあります。「われわれは今どのような事業を行っており、今後どのような事業を行おうとしているのか」「わが社はいかなる企業であり、いかなる企業になろうとしているのか」という基本的な立脚点を改めて確かめ、意識的にドメインを決めることは、差し迫った必要がないように見える場合でも、実は常に重要な事なのです。

 事業領域と戦略領域の区別と似ている議論に、ドメインの物理的定義と機能的定義の区別があります。物理的定義とは製品・サービスの実態に着目します。しかし、ドメインの物理的定義では限界が多く、それは第一にこの種の定義はカバーしている範囲ないし領域が空間的に狭く、第二に将来に向かって企業がどういう方向に伸びていこうとするのか、その方向性がはっきりしないからです。この物理的定義に対比されるのが、ドメインの機能的定義で、例えばこの定義では競合会社や市場機会の認識、代替素材に対する備え方が全く違ってきます。

 ドメインを変えていくことは、場合によって簡単な事ではありません。とりわけ物理的定義に立つ場合、変化を積極的に阻止する傾向があります。しかし、企業の環境は常に変化するので、ドメインも一定不変ではあり得ません。ドメインを有効に機能させるためには、時間とともにそれを変えていく必要があります。ドメインの変化には例えば、〆能蕕話碓貉業で、物理的定義に片寄ったドメインをもっていた、△修慮綛がりのあるドメインを打ち出し、技術開発と多角化で一定の成果を挙げた、しかし事業展開が総花的になったので、再度ドメインの絞込みを図った、という推移などがあります。

 経営者や管理者が主観的に規定するドメインは、組織のメンバーや外部の人々によって広く支持されたときに、初めてドメインとして機能します。そうだとすれば、ドメインの定義が重要であると同時に、経営者と組織メンバーとのやりとりを通じて、あるいは企業組織と外部環境とのやりとりを通じて形成される、ドメインについての「合意」(コンセンサス)もまた重要であるというべきでしょう。このような意味でのドメインに関する社会的合意のことを、「ドメイン・コンセンサス」と呼びます。企業が社会的存在であるという事は、ドメイン・コンセンサスの形成に如実に反映されます。ドメインがうまく機能するためには、ドメイン・コンセンサスがどこに、どういうかたちで形成されているかという事が決定的に重要です。顧客を離れて企業はあり得ず、社会を離れて企業はあり得ない事をもっとも端的に示すのは、ドメイン・コンセンサスなのです。

 それでは、企業のドメインを把握するにはどうしたらよいのでしょうか。ドメインは、企業がやりとりする環境についての広がりの概念であり、その広がりは三つの次元を使って表現できます。第一の次元は、組織の活動の空間の広がりです。これは一般的には、非常に狭い領域で活動しているのか、あるいは、逆に、多種多様な活動を幅広く行っているのか、という対比です。第二の次元は、組織の活動の時間の広がりです。これは、ドメイン自体の中に時間軸があるかどうかということです。発展性、変化性、あるいは動態性の次元と言い換えてもよいものです。活動内容の変化やその方向、変化の道筋について洞察を含まないドメインは静的な規定で、それとは逆に、変化についての洞察を含むドメインは動的な規定です。第三の次元は、組織の活動の意味の広がりです。これは特定の経営者・管理者に固有で特殊なものか、それとも反対に、組織のメンバーや社会の共感を得る事ができる一般的なものか、という対比で表されます。この次元は、ドメインがどの程度明快で、理解可能で納得できるかということに関係します。普遍性の高い価値や倫理性にもそれは関わっています。普遍性の高い価値や倫理性の豊かなドメインは、意味の広がりが大きなドメインです。

 企業のドメインには、空間の広がりと時間の広がりと意味の広がりが必要です。広がりが無ければ、空間的に狭小で、発展性に乏しく、かつまたきわめて特殊なドメインになってしまいます。しかし、三つの次元のそれぞれにおけるプラスの方向が、なんら限定なしにどこまでも望ましいかというとそうではなく、空間の広がりが大きすぎると活動の境界が不明になり、焦点が定まらない危険があります。変化性が高すぎるとドメインの規定は、安定的・持続的な事業活動のもつメリットを失わせる危険があります。さらに、ドメインの一般性が高すぎる場合には、その企業の独自性や固有の存在意義が失われる危険が出てきます。それゆえ、以上に述べてきたプラスとマイナスのぶつかり合いのもとで、一つひとつの次元に沿って自社の位置づけをはっきりさせ、またそれを適宜改変していくこと、それが戦略策定におけるドメイン戦略の課題です。

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経営学入門 上 日経文庫/榊原 清則 (6)

posted in 03:47 2007年08月21日 by 涼微
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この著作権ぎりぎり(アウト)シリーズも残りあと一記事。


経営戦略論

 戦略を決めるという事は、ドメインを定義し、資源配分を決定し、競争ポジショニングを行うという意味です。ここでは、その各論に入る前に戦略論の基礎的な論点を挙げます。まず組織の広義の目標について現実の企業の場合にどのようなものとして把握されているのでしょうか。抽象的にいえば資本主義社会の企業はすべて利潤目標という同一の目標を持つと考えられますが、現実の企業はより具体的な、そして多くの場合、多元的かつ相互に対立する目標に支配されています。要するに、同じ資本主義企業といっても、そもそも何を追及しているのか、戦略の前提に当たるものが必ずしも同一ではないのです。さて、企業ごとに目標が定まったとすると次に問題になるのは、戦略自体の策定です。戦略策定のプロセスはまずヾ超における機会と脅威の識別に始まり、⊆社の独自能力(強みと弱み)の評価を得て、4超条件と独自能力のマッチングを図る事で終結します。マッチングの試みはインサイド・アウト―組織体の内側から外を見て環境を洞察する見方とアウトサイド・イン―環境の側から組織を見る見方という、二つの異なった方向から遂行できます。

 

資源戦略論

 

 資源戦略とは独自能力としての経営資源をいかに獲得・蓄積・配分するか意思決定です。戦略論で取り上げる経営資源は、大別すると二つあります。第一はヒト、モノ、カネなどの有形の経営資源で、第二は技術、ノウハウ、信用、ブランドなどの無形の経営資源です。いずれにせよ資源戦略は、この有形無形の経営資源をいかにして獲得し、またその価値を高め、そして配分するかにかかわる意思決定です。まず、資源戦略論を大きく変質させたきっかけは「経験曲線効果」の発見でした。これは、生産に関するコストが時間の経過と共に急激に下がる現象の一定の規則性のことです。経験曲線効果が観察できればその意義は急成長市場でとりわけ大きく、それをいち早く獲得する事で、圧倒的なコスト優位を構築する事が十分ありえるからです。また、経験曲線は価格戦略の策定にも役立ちます。例えば、「上澄み価格戦略」―市場が成長を始める前に利益を獲得する戦略、「成長志向戦略」 ―市場が十分成長したときに大きな利益を獲得しようとする戦略、「利益志向価格戦略」―市場の急成長段階に高価格を獲得しようとする戦略、などが選択可能です。各企業は自社の製品開発力。生産設備や流通販売網などを考慮し、いずれかの価格戦略を選択します。経験曲線は、市場シェアの戦略的重要性を明らかにし特定市場で高い市場シェアを素早く獲得し、累積生産量を他社に先駆けて積み上げていくことができれば、その企業の他にコストは劇的に下がり、その結果高い収益性を見込むことが出来ます。このように考えると経験曲線効果を最大限に生かす戦略は、「成長志向戦略」であることが分かります。

 経験曲線効果の発見は、次にポートフォリオ・アプローチの展開へとつながっていきます。この方法では、データを簡略化し凝縮する視覚的方法として、ポートフォリオ・グリッドと呼ばれる図が用いられます。この図は、全社の事業ユニットが円で表示され、その一つひとつは、縦軸で表される所属している産業全体の成長率と横軸で表されるその産業における相対的な競争ポジション(市場シェア)によってプロットされます。各円の大きさは、当該事業の売り上げ規模に比例しています。このポートフォリオ・マトリックスの最も重要な意義は、事業間のキャッシュ移転のあるべきパターンを示唆する点です。横軸は、どの程度キャッシュを生み出せるかに関係し、それに対して縦軸はキャッシュを使う程度、あるいはキャッシュの必要度を表します。このキャッシュフローの観点からマトリックスのセルを区別し、それぞれに属する事業に便宜的ラベルが与えられています。左上のセルにプロットされた事業は「花形」事業と呼ばれ、高成長分野で優位な競争ポジションを獲得しています。ただし、投資ニーズが高いので、キャッシュフローの面ではほぼ自己維持が出来るか、あるいはややマイナスです。左下のセルの事業は「金のなる木」と呼ばれ、低成長と高市場シェアから、これらの事業は通常低コストで優位な競争ポジションを獲得していますが低成長のため投資資金ニーズは低く。多額の余剰キャッシュを生み出しています。右上のセルは「問題児」と呼ばれ、高成長のため投資ニーズは大きいが、低シェアのためキャッシュ創出力は弱いため、問題児事業は花形に成長させるか、あるいは分離するかの戦略が推奨されます。マトリックスの右下の事業は「負け犬」と呼ばれ、この事業は、通常相対的に高コストのポジションにあるため、あまり利益が上がらず、キャッシュを失う可能性が大きいので、売却、収穫(清算)、全面閉鎖が推奨される事業です。しかし、産業魅力度(縦軸)も事業の競争力(横軸)も単一のインディケータだけで表現するのは単純過ぎるという批判があり、今日では多数のインディケータを取り上げ、それを合成して用いるポートフォリオ・グリッドが使用されています。

 

競争戦略論

 

 企業の成功失敗は競争にいかに対処するかにかかっています。産業の競争戦略は産業内で高い成果を上げ、それを維持するための企業の意思決定の事です。競争戦略の基本は、産業内で自社をどう位置づけるかというポジショニングの問題です。競争戦略論の出発点は、産業の競争構造の分析です。それをポーターは/卦参入の脅威代替品の脅威G磴ぜ蠅慮鮠栂廊で笋蠎蠅慮鮠栂廊ゴ存の競争相手との敵対関係、という五要因で表現する枠組みを提唱しています。産業ごとに平均的にみたとき、所属企業が資本コストを上回る利益を獲得できるかどうかは、これら五つの要因で表現される産業構造によって決まってきます。五つの要因は企業の価格、費用、必要投資額に影響を与え、したがって収益性に影響を与えます。ある企業がどういう価格を提示できるかは、買い手の力や代替品の脅威に依存しています。有力な買い手がいて、コストのかかるサービスを要求すれば、当該企業のコストや投資は増えるでしょう。有力な売り手がいれば、原材料や資本調達の費用は増大する可能性があります。産業内の敵対関係が激しければ、設備投資、製品開発、広告宣伝、販売などに従来以上に注力しなければならず、やはり費用と価格に影響します。新規参入の驚異があれば価格は抑えざるを得ないし、参入阻止のためには新規投資が必要かもしれません。以上、いずれのケースでも、結果として企業の収益に影響します。

 産業内で自社をどう位置づけるかというポジショニングの決定が、競争戦略では重要です。ポジショニング次第によって、企業は競争優位を獲得し維持し、その結果、産業平均を上回る高収益を上げることができます。長期的に維持できる競争優位を構築し、産業平均を上回る収益を安定的に上げることこそ、競争戦略の課題です。競争優位には様々なものがあり企業は多様な強みと弱みの組み合わせを持っています。しかし、それも突き詰めて考えれば低コストか差別化か、そのいずれかに行き着きます。コストリーダーシップ戦略では、産業における低コストプレイヤーの確立が目指されます。コスト優位の源泉は、規模の経済性であったり、独自技術であったり、原材料へのアクセスであったりします。経験曲線が重要な要因である場合もあります。コストリーダーシップは、産業のリーダー的企業だけが追及できる戦略であり、もしも多数の企業が横並びでコストリーダーシップ戦略を追求し続けたら、その産業は慢性的低収益に苦しむ可能性が高くなります。差別化戦略は、何らかの次元でユニークさを打ち出し、それによってプレミアムの獲得を目指す戦略です。製品それ自体、配送の方法、マーケティングなど、多くの要因が差別化の源泉となり得ます。差別化は追加コストを要求するので、差別化を目指す企業は通常、コスト優位ではありません。差別化戦略で肝要なことは、次元選択の問題で、次元の絞込みが重要になります。第三の競争戦略は集中戦略です。この戦略は、産業の特定部分をターゲットセグメントとし、それだけに焦点を絞り込み、その範囲の限りで競争優位の構築を目指すのです。集中戦略には二つの下位類型があり、ターゲットセグメント内でコスト優位の構築を目指すコスト集中戦略とターゲットセグメント内で差別化の構築を目指す差別化集中戦略です。集中戦略では、ターゲットセグメントの選択が二重の意味で重要です。第一に、その選択により産業全体にアプローチする会社との違いを打ち出さなければなりません。第二に、そのセグメント自体が競争構造的に見て魅力的なセグメントである必要があります。また、上述の戦略類型の複数を同時並行する事で、高い成果を得られなくなる事を「スタック・イン・ザ・ミドルの企業」と言います。

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経営学入門 上 日経文庫/榊原 清則 (5)

posted in 09:30 2007年08月20日 by 涼微
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授業発表用で作ったが分量が多すぎる上にまだ続くので、削る必要があるだろう。


組織構造の機能分析 

 

 次に取り上げるのは組織を全体として組み立てていく方法であり、それを本書では組織のデザイン問題と呼びます。デザイン問題の出発点は、調整のメカニズムに関する類型論です。複数の人々の活動を調整する第一のメカニズムは、活動の過程で相互にやり取りしながらすり合わせていくことです。活動する人たちが、活動しながら同時にまた調整も行うこのやり方では、全員が平等であり、管理・監督のための階層はまだ発生していません。第二は直接的な監視・監督です。集団がもう少し大きくなり調整問題が複雑化すると、管理の階層が発生します。これは垂直的分業あるいは階層分化とも呼ばれる現象で、この場合には二階層の組織が生まれます。以上のプロセスの他に、さらに標準化という方法もあり、その本質は、他の人々の活動や成果に関する予測可能性を高めるということで、()活動プロセスそのものの標準化、()活動の成果の標準化、()活動する人々のスキルおよび知識の標準化という三つの方法があります。以上に述べた五つの調整メカニズムは、集団の人数や活動の難しさ、要するに活動組織の複雑さに対応して並べられています。

 さて組織が複雑化すると、遅かれ早かれ機能を分割し、互いの分担関係を決めて課題を遂行する必要が出てきます。すなわち分業の発生であり、分業の起こり方を形式的に整理すると、第一に作業機能の水平的分化が起こります。これは、専門化の利益や熟練増大の利益を求めて作業が分割・細分化された結果として、特定の限られた内容に一人ひとりが専念するようになる事を指します。作業機能の水平的分化には分業の高度化の結果としての分化と外部の機能を内部化した結果としての分化の二つの経緯があります。第二は、管理と作業の分化であり、管理階層の発生です。作業機能の水平的分化が進むと、調整が難しくなるので、やがて作業者から区別された管理者が出てきます。第三は、管理職能自体の分化です。組織の規模が大きくなり、管理機能が複雑化すると、管理階層の垂直分化が起こり、()現場管理()中間管理()最高管理の区別が生まれます。第四はサービススタッフの分化です。管理業務が複数の階層より処理されてもなお業務が増えると、各階層に含まれる事務的な作業要素を管理事務所職能として抽出し、これを別個の人間や組織単位に担当させる工夫が出てきます。最後に第五は、管理スタッフの成立です。管理職能が複雑化すると、特に最高管理にかかる負担はどうしても大きくなりがちです。そこで、最高管理の頭脳の一部となって彼らを補佐する特定の個人あるいは部門が生まれてきます。要するに管理スタッフの成立です。管理スタッフの職能は、主に最高管理との関連性の高い管理職能です。

 

組織のデザイン

   

 組織構造をどのように見るかの代表例は、コントロールのためのヒエラルキーと見る見方であり、その中心はフォーマルな権限の体系です。以下ではこの視点に立って、組織構造の全体把握にいかなるものがあるかを議論しましょう。基本的な分類として第一に、職能別組織(機能別組織)があります。これは、トップマネジメントの意思がミドルを経てボトムに伝達され作業者に至る、縦の命令系統が貫かれた組織形態です。職能別組織では上司と部下の間の垂直的分化と機能別専門化という水平的分化とが、部門デザインの主な基準変数です。職能別組織の長所は、〇愆・命令系統が一元的で単純、▲瓮鵐弌爾寮嫻ぁΩ限が明快、職能別に専門化するため熟練の形成と活用が可能、つ稟駘僂箸い辰芯構蠅鮖ちます。その半面、〔仁瓩両緤向への情報フォローがうまくいかないことが多い、権限が上位に集中する傾向があるという短所があります。特にトップマネジメントが負担過剰になる傾向があることから、次に述べる事業部制組織が出てきます

 事業部制組織は文字通り事業部を構成単位とする組織形態です。事業部とは製品別、地域別、あるいは顧客別に関連職能を束ねた、独立性の高い部門を意味します。事業部制組織が職能別組織と大きく違っている点は、第一に、部門編成の最初の基準が違っており、職能別組織では職能というインプットであったものが、事業部制では事業と言うアウトプットになっています。第二に、形態の全体像も大きく異なっており、一元的な職能別組織に対し多元的な事業部制組織という対比が可能です。事業部制組織の基本は、独立性・自立性の高い事業部を作ることにありますが、それは事業部と区別される本社の成立と表裏一体です。というのも本社は全社戦略の担い手となり、事業部は事業戦略の担い手となるからです。事業部制組織の長所としては、事業分野ごとに機動的展開が可能であると同時に、トップマネジャーが全社戦略に専念出来る点が中心的です。各事業部内でそれなりにまとまりのある経営を担当させられるので、将来の経営トップの養成にも適しています。逆に短所としては、事業部ごとの独立性が高いので複数事業部間の相乗効果が実現しにくいという点が挙げられます。もう一つ、組織が複雑なので費用がかさむ点も短所として指摘出来ます。

 マトリックス組織とは、部門編成の基準として職能と事業という既述の二つの軸が同時に使われる組織形態です。しかし、職能と事業の二次元に限定する必要は必ずしも無いので、マトリックス組織を一般化して表現すれば、多次元の基準を用いてデザインされた組織であると言う事ができます。発生の由来から区別すると、第一に事業部制から派生したもの、第二に期間限定のユニットを一つの分類基準とし、それを在来の職能別組織あるいは機能別組織に重ねていったもの、第三に国際化戦略の展開の結果として生まれたものなどがあります。一般に、マトリックス組織の長所は複数の異なる基準による組織デザインのメリットを同時に実現できるという可能性にあります。しかし、これはうまくいけば成功が大きい半面、何のメリットも得られない場合もあります。それだけでなく、構造の成り立ちが複雑なので、手続きが煩雑になる恐れがあり、組織運営上の費用が一番大きくなります。これがマトリックス組織の短所です。

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経営学入門 上 日経文庫/榊原 清則 (4)

posted in 02:14 2007年08月20日 by 涼微
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経済学でも入門的な記事やろうかな。


組織理論―マクロ組織論

組織構造の特徴  

 組織理論の代表的な問いを挙げていけば、〜反イ鯀澗里箸靴篤団付ける構造的要素(構造次元)にはどういうものがあるのか、構造次元間にはいかなる関係があるか、9渋ぜ仝気琉譴弔劼箸弔魑定する要因は何か、ち反イ鯀澗里箸靴謄妊競ぅ鵑垢觝櫃梁綢悵討砲楼貘里匹ΔいΔ發里あるか、等々です。これらの問題が、組織理論の中心的な問いかけであり、組織理論の実態は組織構造論であると言えます。組織理論を特徴づける変数としては、先行研究は多くのものを採り上げてきました。しかし、単なるラベルの違いや互いに重複するものもあるので、多少の整理集約は可能であり、組織構造を特徴づける最も中心的な次元は(雑性、公式性、集権制の三つであるとみられています。

 組織を構成するその諸部分の異質性や多様性を一般に組織の複雑性と言います。複雑性には、水平的―職位や部門など組織ユニット間の分化の程度 、垂直的―階層上下のレベル数、空間的―活動拠点の地理的分散の程度の三つの構成要素があります。この三つの要素のいずれに沿ってであれ、組織が複雑化すると、組織内コミュニケーションは難しくなり、調整・統合は難しくなり、それに対応した調整・統合のメカニズムあるいは管理者行動の必要性が高くなります。しかし、もともと複雑性は作業の効率性を高める事を狙って、職能を細分化する結果生まれる構造的特徴なので、これは組織が直面する基本的ジレンマの一つと言えます。

 組織構造の第二の主要次元は、公式性であり、職務やその進め方がどの程度おおやけに定められているかを指します。メンバーの活動がルールや手続き、あるいは方針などのかたちで高度に公式化されていれば、行動内容がそのルールや手続きの中で既に規定済みなので、一定の活動を組織的に確保する事が可能になります。公式性に関係するのは、タスクの内容、階層、職務部門などです。さて、一定のルールや手続き、方針などは、従属すべき規範として組織の中に必ず存在します。それだけではなく、メンバー自身の価値の中にそれが内面化される場合があります。新しいメンバーが組織の価値を自らの価値として受け入れる過程を社会化と呼び、マニュアルのような明示的ルールあるいは手続きの割り当てによって一定の活動を確保する事と相互に代替的であるといえます。

 組織構造の第三の主要次元は集権性であり、意思決定権限がどの程度上位に集中しているかを意味します。集中度が高ければ集権的組織と呼ばれ、逆に低ければ分権的組織と呼ばれます。分権化は権限委譲の結果です。では、なぜ権限委譲が起こるのでしょうか。それについては、第一にすべての管理者はオールマイティではなく、管理能力に限界を持っているから、第二に権限の委譲は下位下層のメンバーのモチベーションを高め参加意欲を強化するから、第三に将来の管理者を育成する貴重な教育機会を提供する事ができるから、第四に組織を取り巻く環境の不確実性が高いときは、意思決定ポイントをできるだけ実行ポイントに近づける必要が高まるからといえます。しかしながら、権限委譲の結果である分権的組織が常にベストと言うわけでは無く、権限が上位に集中している集権的組織は、大抵意思の貫徹と一枚岩の実行力に優れており、結果に対する責任の所在も明確なので、集権的組織が望ましいケースもあります。

 

何が組織を規定するか

 

 組織構造のあり方はどういった要因に影響されるのでしょうか。まず、組織構造は年齢と規模に影響を受けます。その関係について、先行研究によると()組織の年齢が増せば公式化の程度は高くなる。()組織の規模が大きくなれば構造の複雑性は増す。()組織が大きくなると公式化の程度は高くなるという結果が出ています。次に、技術もまた組織構造を規定すると言われています。技術が組織構造にどう影響するかについては、製造業における生産システムの種別を技術変数としてとりあげたウッドワードの研究では、生産システムを仝鎚娘注生産、大量生産、A置生産に大別し、その種別による組織構造の違いに関心を持ちました。第一に、個別受注生産のもとでは、構造の複雑性は低く、形式性も低いままです。また、決定権限は広範なレベルに委譲されますが、同時に雑多な仕事が経営トップに集中する傾向もあります。第二に、大量受注生産を特徴づけるのは標準化・定型化されたルーティンワークであり、そして高度に公式化され文書化された行動です。また、管理者が増え構造の複雑性は高くなります。決定権限の上位集中は、この技術のもとで最高度に達するとみられます。第三に、装置生産では熟練度の高い間接作業者は増え、おもに保全、サービス関係業務を遂行します。また、ルールや手続きは精緻化されますが、その多くは機械・装置の中にビルトインされるので、組織構造の公式性は低くなり決定権限は分散します。最後に、組織を取り巻く環境もまた組織構造に影響を与えます。先行研究では、複雑性―組織の環境が単純か複雑かの次元と動態性―組織の環境が静的か動的かの二つの環境次元に注意を集めてきました。これらの環境次元と組織構造との関係について、先行研究が発見してきた事は、()環境の複雑性が高くなると組織構造の複雑性が増す、()環境の複雑性が高くなると組織の分権化が進む、()環境が変化に富むようになると、公式化や文書化の程度の低い有機的組織構造が発達する、(4)環境が変化に富むようになると組織は分権化するという四つの仮説がいわれています。

 

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経営学入門 上 日経文庫/榊原 清則 (3)

posted in 03:28 2007年08月19日 by 涼微
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まだ半分行ってないよ(^▽^;)


リーダーシップと管理者行動

 

リーダーシップとパワー

ある人がリーダーシップを発揮するという場合、それは何らかの影響力を行使して集団を一定の方向に導く事を意味します。それゆえリーダーシップとは、一定の目標達成へ向けて集団に影響を与える能力です。リーダーシップにおける最も素朴な議論は「資質理論」です。これは、リーダーの持つべきパーソナリティや社会的、心理的、知的特徴を挙げていく理論です。しかし、その後リーダーシップの議論はリーダーの資質ではなくむしろその行動特性を抽出する方向へと向かいました。これを「行動理論」といいます。行動理論には様々なものがありますが、多くの研究で共通に抽出されてきた主要次元は、「人」と「仕事」の二つです。たとえばオハイオ州立大学の初期の研究では、配慮と構造創始の二次元を抽出し、またミシガン大学の研究では従業員志向と生産志向の二つが識別されています。

 さて、人と仕事の二要因が重要であるのは事実としても、どちらを重視したリーダーシップもあらゆる状況下で等しく機能するとは思われないので、一連の行動理論は集団の置かれた環境や状況に依存するはずです。その意味で、リーダーシップに関わる状況要因を理論の枠組みに明示的に組み込み、特に状況要因別にリーダーシップの有効性を究明した「フィドラーのコンティンジェンシー理論」は、リーダーシップ研究を大きく前進させるものでした。ここでコンティンジェンシーというのは、一般に「条件付き」という意味を持っています。フィドラーはまず独自に開発した測定手法を使って、リーダーシップを〇纏志向と関係性志向の二つに分類します。また、リーダーシップの有効性に関わる条件変数を「状況好意性」という概念で定義し、それを.蝓璽澄次瓮瓮鵐弌軸愀(リーダーが集団メンバーに支持され受容されているほど好意的)▲織好構造(タスクの目標、手順、成果が明確で、構造化されているほど好意的)、C楼魅僖錙(メンバーの採用・評価・昇進・昇給に影響力があるほど好意的)の三次元で操作します。そのうえで、リーダーシップ・スタイルと状況変数とのマッチングを調べました。その結果から、状況を所与としてそれに適合的なリーダーを選ぶか、あるいはリーダーを所与としてそれに適合するように状況を改変させるか、いずれかの方策が提案されたのです。

  以上に見てきたリーダーシップ研究は古典的な成果であり、その基盤の上に現在活発な研究が展開されています。その中でも特に注目すべき動きには、リーダーの影響力よりもフォロワーの影響力の強化を強調する研究や小集団に固有のリーダーシップでは無く、大規模な集団や組織全体などのマクロの文脈でのリーダーシップに焦点を当てた研究などがあります。

 さて、リーダーシップの研究が主に小集団に注意を集めてきたのに対して、より広い文脈でのリーダーの影響力の問題を採り上げてきたのがパワーの研究です。集団や組織におけるリーダーは、集団あるいは組織目標達成のためにパワー(影響力)を行使します。パワーについては、パワーの源泉に関する議論が重要です。パワーの源泉は、強制的―恐怖に基づくパワー 、報酬的―プラスの便益に基づくパワー 、正統的―組織階層上の位置あるいはフォーマルな権限に基づくパワー 、専門的―専門化が保持するパワー 、同一的―尊敬すべき特定個人に対してその人へ同一化したいという個人の欲求に基づくパワーの五つに区別するのが最も一般的です。集団や組織の実際の動き方を理解するためには、これら五つの源泉を持ったパワー関係を総体として把握する事が重要です。

 

コンフリクト解消と管理者の役割

コンフリクトとは、一般に「争い」を意味する言葉であり、目標の不一致、意見の解釈の違い、利害の対立などを指します。このコンフリクトを解消する研究も組織にとって重要です。さて、コンフリクト解消に関する代表的な議論は次の二つです。まず、マーチ=サイモンは組織内コンフリクトに対する組織の対応方法として、〔簑蟆魴茘∪眛性バーゲニング(交渉)だ治的工作の四つを挙げています。このうち,鉢△鯤析過程によるコンフリクト解消、とい鬟弌璽殴縫鵐阿砲茲襯灰鵐侫螢ト解消と呼び、マーチ=サイモンによるコンフリクト解消は問題解決→妥協を軸とした一次元の図式であると考えられています。これに対してトーマスは、コンフリクト解消を自己主張性と協力性の二次元で捉えるモデルを提唱しています。この二次元モデルの特色は、望ましいコンフリクト解消として自己主張的かつ協力的な場合に生じる協創(コラボレーション)としている点です。

 以上のようなコンフリクト解消方法の分類は、その後、どういう環境状況でどのコンフリクト解消が機能的かについての実証研究に受け継がれてきました。その結果、()問題解決や問題直視は常にベストなコンフリクト解消であるわけではない、()機能的なコンフリクト解消方法は環境条件に依存し、さらに成果目標にも依存する、の二点が明らかになっています。

 集団や組織の文脈では、管理者の役割が特殊な意義を持ちます。管理者というのは、人々の努力を結集して目標遂行をはかる人の総称です。そして、管理者の役割と機能を論じた一連の研究が、管理者行動論です。管理者行動論の最も古典的な議論では、管理者の機能は計画し、組織し、指揮し、そして統制するという四つであると言われてきました。別の観点から行われた管理者の役割は、‖仗祐愀犬僚萢⊂霾鵑隆浜0媚弖萃蠅了阿弔紡臺未気譴討い泙后N犹の有名な議論に、管理者に求められるスキルや技能を分類したものがあります。それによれば.謄ニカルスキル― 与えられた問題に対する技術的な解決能力、▲劵紂璽泪鵐好ル―与えられた問題に対する組織的な解決能力 、コンセプチュアルスキル―問題自体を発見し定式化していく能力の三つが管理者には必要だといわれています。

 

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経営学入門 上 日経文庫/榊原 清則 (2)

posted in 11:55 2007年08月18日 by 涼微
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さっきまでついつい「撲殺天使ドクロちゃん」にはまってしまってたわ\(^o^)/


組織行動論―ミクロ組織論

個人行動―モチベーション理論

 

 組織における個人行動をみる場合に最も重要なのはモチベーション理論です。モチベーションとは動機付けを意味し、「目標達成のために高レベルの努力を行おうとする個人の意思」と定義されます。この定義でいう目標には、個人の目標と組織の目標とがあります。仮にその両者が一致していれば、高いモチベーションは高い個人成果につながるばかりか、高い組織成果にもつながる可能性があります。個人レベルの組織行動論の中心であるこのモチベーションは、古典的モチベーション理論と現代的モチベーション理論に大きく分類されます。

 まず古典的モチベーション理論に、マズローが提唱した「欲求階層理論」があります。この理論は大きく二つの仮定から成り立っています。第一は、人間行動を欲求の満足行動と仮定する点です。ここで、マズローは人間は五つの欲求次元を持つと考え、それは低次元から順に\戸的欲求、安全欲求ないし安定性欲求、所属および愛の欲求、ぢ左畦澣瓠↓ゼ己実現欲求と呼びます。そして第二の仮定は、この五つの欲求が最低次元から最高次元まで順に階層を成し、人間の欲求満足化行動は低次欲求から高次欲求へと逐次的に移行するということです。この理論に依拠してマグレガーは低次欲求のX理論に動機付けられる人間の行動モデルと高次欲求のY理論に動機付けられる人間の行動モデルがあるとする「X Y理論」を提唱しました。これら二つの理論は自己実現を目指す人間という特定の人間モデルを基盤としています。しかし、自己実現とはどういった意味なのでしょうか。この言葉は必ずしもはっきりしたものではないと言えるのではないでしょうか。というのも、自己実現というのは、特定の状態を指す言葉ではなく、人が生涯にわたって追い求めていく仮定を指す言葉だからと思われるからです。さて、もう一つの古典的理論はハーズバーグの「動機づけ衛生理論」です。この理論は職務満足の原因には、()モチベーションを高めるのに寄与する「動機づけ要因」(仕事そのものや仕事の遂行に関わる要因)()それが不備であると職務不満を発生させるが、それを整備することにより不満の発生を防止する事が可能な「衛生要因」(仕事をめぐる環境要因)という二種類の要因があるというものです。この理論の結論としては衛生要因を整備して職務不安を取り除くとともに、それとは別に動機づけ要因にさらに配慮することで、個人の仕事のモチベーションを高めていくことが必要であるという事です。

 以上三つの古典的理論は直感的な説得力を持つものの、実証的裏づけを欠くものでした。それに対して以下に挙げる現代的モチベーション理論は、それぞれ何らかの実証的基盤を持つ点で古典的理論と一線を画しています。まず「ERG理論」はアルダーファーがマズローの欲求理論を修正したものです。この理論は最初に、\限賢関係成長という三つの欲求次元を仮定します。そして、マズローと同様にこれらの次元の階層性を仮定しますが、各欲求次元が活性化されるプロセスははるかに複雑です。この理論で新たに付加された仮定は、()欲求の各次元は必ずしも逐次的に活性化するのでなく、同時に活性化し得る、()上位レベルの欲求の満足の欠如は、下位レベルの欲求の重要度を増加させるという点です。この二点によりマズローよりも現実的妥当性を備えた理論になっています。次に「マクレランドの欲求理論」では、達成欲求、権力欲求、親和欲求の三つが欲求次元として識別されます。欲求次元の中では達成欲求に調査の視点が当てられますが、次元間の階層性が仮定されていないのがこの理論の特徴です。さて、次の「公平理論」の基本的仮定は次の二つです。/祐屬不公平(ギャップ・不協和)を感じると、それを解消しようとするモチベーションが生じる、不公平の認知が大きいほど、モチベーションの強度は高い。このように、人間のモチベーションは、不公を解消しようとするエネルギーであると、この理論では考えられています。最後にモチベーション理論の中で、今日最も受け入れられているのは「期待理論」です。この理論の出発点は、人間が行動をとる際には前もって合理的な利益計算を行うという「功利主義的な合理人」です。この人間観に立って、期待理論が仮定するのは、個人の高いモチベーションが生じるためには、第一に個人の努力が一定の成果(業績)に結びつく可能性が高く、第二にそうした業績が何らかの報酬をもたらす可能性が高く、第三にそうした報酬が自分の目的に照らして望ましいものである、というように感じる事が必要であるといえます。

 以上、モチベーション理論の変遷を概観してきました。特に現代的理論においてはデータとつき合わせて理論の改善が出来るので健全な理論であると言えますが、その半面おしなべて理論の範囲が狭いので断片的な説明に陥っています。それゆえ今後は、個別的理論を一定の視点で統合する努力が必要でしょう。

 

集団理論

 

 人間が集団になる理由は、意思決定の際に個人に勝るメリットを持っているからと言えます。この意思決定は組織論の中心概念ですが、この意思決定という言葉は決断の一瞬を指す言葉ではなく、〃萃蠅里燭瓩竜_颪鮓出し、可能な行為の代替案を列挙し、B綢悵討涼罎ら選択し、い修侶覯未鯢床舛垢訌寛當を指しています。まず、個人による意思決定と比較した場合のメリットとしては、()より多くの情報と知識を活用できる()多様なアイデアを活用できる()結論の受容可能性が高まる()正当性が高まるといったものが挙げられます。一方デメリットとしては()時間がかかる()同調過剰が発生する恐れがある()特定個人が議論を支配する恐れがある()責任が曖昧になる恐れがある、などが挙げられます。それゆえ、集団意思決定と個人による意思決定とを比較して普遍的な優劣を論じる事はほとんど意味が無いとので、一般的に直面している問題状況や目的に合わせて、集団と個人の意思決定を適宜組み合わせて活用するのが望ましいといえます。

 集団で仕事を進める際にトラブルが起きた場合、その原因はコミュニケーション・エラーである事が多々あります。これまでの調査によれば、個人行動の七割前後はコミュニケーションに費やされているという事なので、人間の行動の中で重要な要素を一つだけ挙げるとすれば、それはコミュニケーションだと答えるべきかもしれません。このコミュニケーションにおいてまず重要な事は、その方向性が垂直方向か水平方向かという事です。垂直方向のコミュニケーションには、下方へ向かうものと上方へ向かうものがあります。組織の文脈のもとでは、一般に命令や支持は上から下へ流れ、そしてそれに対するフィードバックは下から上へ流れます。しかしそのなかで、どちらかといえば、上方へのコミュニケーションの方が難しいことが多く、現実の組織の内部では、上方へのコミュニケーショを特に補強する意識的な努力が行われています。水平方向のコミュニケーションとは、階層上の位置関係で同じレベルに属するメンバー同士のコミュニケーションの事です。組織における水平方向のコミュニケーションには、同一部門内のメンバー間のコミュニケーションと、異部門をまたぐコミュニケーションがあります。さて、コミュニケーションにはフォーマルとインフォーマルの区別も重要です。組織の権限系統を通じたコミュニケーションをフォーマルコミュニケーションと呼び、それ以外の自然発生的なすべてのコミュニケーションはインフォーマルコミュニケーションと呼びます。このインフォーマルコミュニケーションは情報の伝達、フィードバック、選別に関して重要な役割を果たします。

 

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経営学入門 上 日経文庫/榊原 清則 (1)

posted in 01:33 2007年08月18日 by 涼微
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授業発表用に作成したので公開してみる。

※経営学入門といっても組織論と戦略論だけであり、さらに当記事は本書の中でも基礎的な内容の編集に終始しているので、より深く経営学を知りたい人は本書を買ってみるのもよし、それぞれの専門書を当たってみるのもよしである。


経営学とは何か

企業とは

 

 経営学とは、「企業」という領域を特定して対象世界へと接近していく「領域学」です。では、そもそも企業とは何なのでしょうか。「企業」は「業を企てる」と書きます。そして、「業」という言葉は「生活の中心を支える仕事」の意味を持ちます。つまり、企業と言うのは、そういった生活に無くてはならない仕事を企てる事業体であると言えます。また、「企業」はビジネス・サイクルを無限に反復する「無限持続体(ゴーイングコンサーン)であるところに今日の企業の本質的な特徴があります。このような特徴を備えた企業の存在感は今や圧倒的なので、個人の意思などは無関係に思える程です。しかし、それでも企業がもともと個人の夢や野心を実現する社会的手段として創案されたものである事は疑いようの無い事実です。

ところで、経営学には大きく分けて二つの要素があり、それぞれ「組織論」と「戦略論」と言います。ここでは、まずそれぞれの簡単な定義を見いきましょう。

 

組織理論

 

 経営学の対象である企業は、組織あるいは組織体の一種です。ここで組織とは、意識的に調整された複数の人間の活動の集合体を意味します。それは、一定の境界を持ち、共通目的の遂行を目指します。こうした組織の定義としては第一に複数の人間が含まれる事、第二に組織は意識的に調整された複数の人間の活動である事、第三に組織を構成するメンバーがいる事、第四に組織には目標や目的が存在する事が挙げられます。

  さて、組織は意識的に調整された人間活動の集合体なので、組織のメンバー一人ひとりには、その組織の中で行うべき仕事があります。その仕事がどう関係付けられているか、つまりタスク相互の関係のあり方と、人間関係の調整のためのメカニズムの二つを総称して組織構造と呼びます。また、目的遂行のために組織構造を一定のかたちに特定化したり、既存の組織構造を改変したりする事を組織デザインと呼びます。そして、組織構造と組織デザインを研究する学問領域を、われわれは組織理論と呼ぶのです。

 しかし、組織に関する研究は、ここで述べた組織理論だけではありません。一般に組織研究には大きく二つの流れがあります。第一は、組織を構成しているメンバーの行動に直接的に焦点を当て、個人行動及び小集団に固有の現象に関心を寄せる研究であり、組織行動論と呼ばれています。またこれを組織のミクロ理論と呼ぶ場合もあります。第二に、メンバーの行動を直接的に取り上げるのではなく、社会集団としての組織の構造やデザインを全体として議論する研究です。これをマクロ理論と呼ぶ事もあります。このミクロ理論とマクロ理論は後の記事で紹介します。

  ところで、なぜ組織を研究する必要があるのでしょうか。その問いに対する答えは第一に、われわれの社会のあらゆる部面に組織現象が浸透しているからです。そして、組織に関する現象はこの様に誰にとってもきわめて日常的でありふれたものなので、自分の経験に根差す直感的な説明や仮説をだれしも持っているものです。その様な素朴で直感的な仮説を科学的・体系的に構築された命題に置き換えること、それが組織研究の第二の意義です。そして第三に、世の中の多くの人はなにか自分の目的遂行のために組織を利用したいと考えている事でしょう。その場合、既存の組織の活用を図る人もいれば、新しい組織を自ら創ろうとする人もいるでしょう。いずれの場合にせよ、そういった人々にとって組織研究は現実的に有用な知見を提供する事が出来るので、その意味でも組織研究には意味があるといえます。

 

戦略論  

 

 経済組織である企業にとってその存続・成長のための条件は二つあり、第一は、社会的ニーズの高い財・サービスを提供できるかどうか、つまり有効性に関わる条件であり、第二は、財・サービスの提供に際してそれに要する費用を上回るより大きな収入を獲得出来るか、つまり効率性に関わる条件です。直感的に言えば、有効性は「何を作ったら良いか」にかかわり組織の外的努力を必要とし、効率性は「いかに作ったらよいか」にかかわり組織の内的努力を必要とします。組織が存続し成長するためには内的努力も外的努力も必要なのです。

  さて、上記のように仮に組織の存続と成長とって有効性と効率性が重要であるとするならば、その双方を維持し高める意思決定が必要だという事になります。このような、有効性と効率性に関わる組織の基本的意思決定を、戦略と呼びます。戦略とは、組織の基本的な活動の内容と範囲、経営資源の獲得・蓄積・配分、業務の構造とその基本的進め方、競争上の位置づけ(ポジショニング)等々を長期的視点から規定する特定の意思決定です。この様な組織がその目標や目的、標的を達成するために行う基本的意思決定である戦略の主な内容は、.疋瓮ぅ鸚鑪―環境との相互作用をどういう範囲で行うか ∋餮酸鑪― 独自能力としての経営資源をいかに獲得・蓄積・配分するか、6チ萓鑪―競合者に対してどういう独自ポジションを展開するかの三つです。この三つは後の記事で詳しく紹介します。

 また戦略には階層上下の分類もまた重要です。組織の戦略は、()全社戦略 ()事業戦略 ()機能分野別戦略の三つの階層レベルに分けるのが適当です。全社戦略においては、多数の事業部門をまとめる必要があるため「われわれはいかなる事業集合であるべきか」という問いかけに答える答えが重要なのでドメイン戦略が重要になります。事業戦略においては、特定の産業ないし製品/市場セグメントでどのような独自能力を構築し、いかに競争するかに焦点が当てられるので資源戦略と競争戦略が重要です。機能分野別戦略においては資源生産性の極大化を通じた独自能力の構築が焦点であるので資源戦略が必要です。以上のように、戦略の内容は階層別に分けて考える事が重要ですが、組織の存続・成長のためにはこれらの戦略は互いに調和し、整合的で一貫したパターンを形成していなければなりません。

 

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