深く物事を考え正確さを求めすぎる人が陥るかもしれない言葉に関する二つの現象

posted in 23:01 2009年08月24日 by 涼微
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思考はある程度深く広いけれどあまり喋る事が上手くない人の特徴は、喋る前にどう表現しようか色々と考えてしまうという点である。そういった特徴の人が上手く喋るためには、取り敢えず間違っててもいいのであれこれ言いながらだんだんと納得する表現に近づけていけば良い。

この考え方の元ネタは、岡田斗司夫のひとり夜話【GyaOジョッキー】シリーズの中のどれかの放送回の話から(要するに忘れた*1)。

普段から妥協せずに物事を深く考えすぎている人は、テンポが重視される対人の場での会話においても自分が言わんとしている最も適した表現を探そうとして、相手からの言葉の投げ掛けの返答に数テンポ遅れてしまうことが多々あるかもしれません。

こういった返答の遅れを頻発しがちな人がテンポよく喋るためには、取り敢えず直感的に思いついた言葉を切り返しておいて、相手と会話をあれこれやり取りしながら、徐々に自分が納得できる表現に持っていくという方法を取り入れてみるのが良いと思います。

これはつまり、普段思考などをしている場合に自分一人で練り上げている過程を会話のテンポや相手がいる事の都合・不都合により、多少相手に肩代わりしてもらうとも言えます。

自分が納得していない状態で言葉にすることを「気持ち悪く」感じる完璧主義者やそれに近い人にとって、この方法を試す事に違和感を感じると思いますが、そもそも日常会話においては言葉の完璧さを求めるよりも意見を伝えることの方が優先事項なので、さして意味のないことにこだわっていたことを理解し曖昧さに適応できるようになるかもしれません。

この、言語で完璧に思考を表現できるかかどうかということは、次の話題にもつながります。

岡田斗司夫 - Wikipedia
岡田斗司夫 - Amazon


ある程度の賢さを有しているけどアウトプットの量が少ない人はただ単に「正確さ」に拘り過ぎているだけかもしれない。しかし、そもそも言語自体が不正確な性質を持っているので「正確さ」を必要以上に求める行為は一種の強迫観念である。

この考え方の元ネタは、脳を鍛える―東大講義「人間の現在」 のp134〜p135辺りの以下の文章から。

正確という烈しい病
ヴァレリーは正確という烈しい病に悩んだ結果、文学も哲学も捨ててしまいます。「正確という烈しい病」にかかっている人は、きみたちの中にも沢山いるはずです。頭がいいといわれる若い人は、「正確という烈しい病」にかかることが多いんです。この病にかかると、正確でないことをいう人はみんなバカに見えます。自分が何かいわなければならないときは、あくまで正確なものいいをしようとして、ついに何もいえなくなります。

(中略)

時間を測定する距離を測定するといった物理的測定ですら、尺度のゆらぎを考えたら、絶対的正確さなんてありえないわけです。まして、言葉を道具として使う世界では、言葉そのものが内因性の不正確さをもつところから、絶対的正確さなんて求めて得られようはずがないんです。これを言語の不確定性定理といってもいいでしょう。だから、言葉を主たる道具として使う世界と、正確という烈しい病が両立するわけはないんです。”

そもそも使う道具が正確ではないのに、その道具を使って表現したものを完全に正確にしようとする態度は無理のある話だと言えます。それゆえ、こういった不正確な性質を持つ道具を使いこなすためには、内包する不正確さを認めるある程度の「適当さ」が必要なのでしょう。さもないと同時に実現できるはずのない正確と不正確の狭間で「迷子」になってしまいます。

もちろん、物事を深く考え正確さにこだわるといった行為は何かを創造する際に仕上がりを良くするためにどうしても必要ですが、不正確な特徴を持つ道具を用いる場合においてはある地点を越えて正確さを求めようとする行為は上記の通り不必要になります。

それならば、不正確な道具を使う際に正確さにこだわるべきではなくなる地点はどの辺りなのか、自分の能力と折り合いをつけながらその地点を探ってみるという作業は生きていく上で誰しも必要なことなのだと思います。

*1:8/24現在では20話から後ろしか見れません。

他の章も色々と面白いです。
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