運動が脳に多大な好影響を及ぼす - 脳を鍛えるには運動しかない!

posted in 13:26 2011年01月13日 by 涼微
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自分にとって人生を少し良い方向に変えた一冊の紹介

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方
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自分の脳の仕組みを十分に知っていれば、人生を変えることができる。なにか感情的な問題を抱えていたとしても、それに生物学的根拠があるとわかっていれば、罪悪感を覚えなくてすむし、さらにその生物学的作用をコントロールする方法を知っていれば、無力感にさいなまれなくてすむ。 p12



運動の良い点は体に良いということより、むしろ脳に良いということにある。そもそも、現代の人類は狩りも採集もしていないので一日のうちで運動している時間がかなり少ないが、それは人類の歴史から見ると異常なことであり、体のあちらこちらで問題が起こっているらしい。そして、その変化は視覚的には体に見て取れるが、本当に深刻な問題は脳が縮んでいることであると筆者は言う。

脳を最高の状態に保つためには体を精一杯動かさなければならない。運動をすると、脳の学習機能を支える基本要素の強化や気分や不安、注意力への好影響、そしてストレスの軽減などが期待できる。また、運動をすると、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが増える。

そして、強いストレスを受けると脳の何十億というニューロンの結合が蝕まれたり、うつの状態が長引くと脳の一部が萎縮してしまうが、運動をすれば神経化学物質や成長因子がつぎつぎに放出されてこのプロセスを逆行させ、脳の基礎構造を物理的に強くできるというのだ。

本書の内容はまず第一章で運動を積極的に活用しているアメリカの学区の事例を取り上げた後、学習、ストレス、不安、うつ、注意欠陥障害、依存症、ホルモンの変化、加齢、鍛錬という順番に運動の効果についての話題を語っていく。

例えば、学習に関する運動の有効性はまずラットにより発見されBDNF(ニューロンの回路を構築し、維持している因子)と運動に関する研究が積み重ねられていった。それは、BDNFはニューロンの存続だけでなくその成長にも必要で、ゆえに学習にとっても重要だというものだった。そして、2007年にドイツの研究者グループの人間を対象とした研究の結果(運動前より運動後の方が20%早く単語を覚えらた)により学習効率とBDNF値が相関関係にあることが明らかになる。

また、BDNFはシナプスの近くに蓄えられIGF-1(インスリン様成長因子)、VEGF(血管内皮成長因子)、FGF-2(繊維芽細胞成長因子)といったホルモンにより放出の手助けを受ける。そして重要なことに、これらの因子も運動によって放出が促進される。これは古来わたしたちが学習能力が必要なのは食物を見つけるためであるので、体を動かすことで学習能力が促進されるのは確かに理にかなっているといえる。




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