日本国憲法は押し付けか、あるいは大正デモクラシーにその起源があるか

posted in 22:11 2009年11月29日 by 涼微
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先日(いや先月か)、ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊の「日本国憲法制定の系譜」を書評している箇所を読んでいてこんな文章を目にした。

p463 

槙原悦二郎という日本ではすっかり忘れさられている大正デモクラシー期の政治学者を掘り出して、これまでアメリカ側の日本国憲法初期起草者と目されていたボートン、バランタイン、アッチソンなど全員が、彼の著作から基本的な発想を得ていたことを証明して、日本国憲法の三大原理(ポツダム宣言の中核部分でもある)の平和主義、国民主権、人権尊重の起源が、実は日本の大正デモクラシー思想にあったことを明らかにした。槙原がなぜそれほど大きな影響を彼らに与えたかというと、彼の英文の著書『日本の政治的発展』(一九一0)が明治憲法体制を批判的に詳細総合解説し、日本を西欧流のデモクラシー国家にするためには、憲法のどこをどう直さなければならないかを英語で論じた唯一の書だったからだ。

(中略)

原の英文著書は日本にほとんどなく、日本で翻訳が出ていたら発禁確実の、体制批判の書だった。
槙原のこの研究によって、新憲法がアメリカの押しつけというより、大正デモクラシーの嫡子であったことが証明されたわけだ。挟では、憲法第九条の確かな起源が、実は、一九三0年に英訳で欧米に紹介されていた吉野作造の軍部批判論文にあったことなども指摘されている。

この日本国憲法制定の系譜の著者の原秀成は東京大学・大学院を出た後、イエール大学、メリーランド大学、国立国会図書館、国際日本文化研究センターで日米をまたにかけて研究を続けて(*1)、その英文資料の読みこなしが半端な量ではなく、それゆえ日本では忘れ去られている「槙原悦二郎」という政治学者を掘り出し、日本国憲法の起源を大正デモクラシーに見いだしたらしい。

さて、この本を詳しく調べようにもリンク先の通り第一巻の値段は8,925円で、おいそれと手を出せる値段ではない。(ちなみに全五巻の予定らしく現在第三巻まで出ている。)ここで、近くの図書館に所蔵してあれば一目見に行けるのだが、どうやら置いてないようである。

ということなので、憲法改正の際によく議題として挙がる「日本国憲法は押し付けかどうか?」という問題に興味のある人は、一つの切り口としてこの大正デモクラシー案を認識しておくために一見してみることを勧めておきます。

*1:http://aserve.procen.net/nippyo/writer/main.asp?No=588

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