哲学のすすめ/梅原 猛・ 橋本 峰雄・藤沢 令夫 NO,4

posted in 23:57 2007年02月20日 by 涼微
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採点

90

項目

1、哲学を考える
2、哲学の問うもの
3、哲学の歩み
4、文献解題

哲学のすすめ/梅原 猛・ 橋本 峰雄・藤沢 令夫  NO,3  の続き

現代の哲学〜体系の否定とさまざまの課題〜

ヘーゲルの死後、彼のような体系的な哲学は寧ろ、批判されることとなる。それは、諸科学の発展に応じて思想の態度や学問に対する考え方が変貌したからである。その様な体系を解きほぐした思想家たちを「青年ヘーゲル派」と呼ぶが、その中でもフォイエルバッハの哲学の根深さは群を抜いている。

彼の功績は、哲学をば神的絶対者を原理とし存在する学から人間の学にひきずり下ろしたところにある。だから、彼は新しい哲学を「人間学」と呼ぶ。それは、「人間を越えたもの」への従属から自由になった「人間のことば」と訳すべきものである。

ところで、社会的人間の現実学を展開したのはマルクスである。彼の主義哲学として挙げられる特性は、「弁証法的唯物論」すなわち自然・歴史・社会を物質的過程として弁証法的に展開するものであった。また、彼は歴史の運動とは基本的に内容(生産力)の発展に応じ形式(生産関係)が変革されてきたことだと言い、これを「唯物史観」と呼ぶ。さらに「資本論」を著し、現代社会の内的矛盾を原理的に論証した。

自分が有限者であること、自分が単独者であること、この自覚を差し置いていったい主体性とはなんでありうるか。ゼーレン・キュルケゴールはこの問いから出発する。彼の「実在」としての立場からの主体性の論理により、質としての個人的・論理的究明をする立場は、バルト・ブルンナー等の弁証法神学やヤスパース・ハイデッガー・サルトルに受けとられた。特にサルトルの実存主義思想はきわめて社会的に積極的な態度であった。

生の哲学と言えば、「ツアラツストラ」を著したニーチェがいる。彼の思想は、ソクラテス以来の形而上学をすべて生を否定する思想すなわち「ニヒリズム」とし、このニヒリズムに徹する事で生の否定から肯定へと価値を転化させることを説く。

また、歴史上の生を自分の生で捉え、現在の自分が歴史に意味を与えるのだという、歴史学を精神科学に意味づける事をデュルタイにおいて確立し、進化論を主体化して自発的生命こそが真の実在であるという、魅力的な生の形而上学をベルグソンが示た。また、この根源的な生へ帰還して再生を帰すべきこの指針は広くヨーロッパに影響を及ぼし今日に至る。

19世紀中頃になると「カントに帰れ」という新カント派がおこることとなり、その中でもリッケルトは、自然科学と文化科学の学問的性格を明確にしようとした。その影響を受けつつ、社会科学的認識の客観性を追及して、歴史・社会の認識方法論を立て、自分も経済史・経済社会学・政治史等で実り多い成果を挙げたマックス・ウェーバーは今日にも強い影響を持つ。

また、プラグマティズムを哲学として確立させた人がパースであり「概念の対象」が、「実践的影響」を持つと考え得る「効果」が問題であった。その後、ジェームズ・デューイへと発展しアメリカの社会生活の調整に大いに役立つ事となる。

その後、科学哲学は多岐にわたって発展するが、近年では例えばポパー・エイヤーの諸著作を見ても、つねに哲学を学問論的に再検討すべく要請を続けている。

哲学のすすめ/梅原 猛・ 橋本 峰雄・藤沢 令夫 NO,5  へ続く

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