ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する/スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー(訳) 望月 衛(訳) 望月 衛

posted in 15:25 2006年12月31日 by 涼微
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採点
 75点

内容
世の中の通念の裏側を探求し綴った本

項目
序章 あらゆるものの裏側―この本のサワリ:道徳が私たちの望む世の中のあり方についての学問だとすると、経済学は実際の世の中のあり方についての学問だ。
第1章 学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじ?―インセンティブの美しさとその暗黒面であるインチキを追究する。
第2章 ク・クラックス・クランと不動産屋さん、どこがおんなじ?―情報は最強の力である。とくに悪いことに使うときは。
第3章 ヤクの売人はどうしてママと住んでるの?―通念なんてたいていは張り巡らした嘘と、私利私欲と、ご都合主義にすぎないことについて。
第4章 犯罪者はみんなどこへ消えた?―犯罪のウソとマコトを仕分けする。
第5章 完璧な子育てとは?―差し迫った疑問をさまざまな視点から追究する:親でそんなに違うもの?
第6章 完璧な子育て、その2 あるいは、ロシャンダは他の名前でもやっぱり甘い香り?―親が子供にする最初の儀式、つまり赤ん坊に名前をつけることの大事さを測る。
終章 ハーヴァードへ続く道二つ―データの信頼性が日々の偶然に出合う。

読んだ動機
経済の裏側を知りたかったから

こんな人にお勧め
世の中の通念をひっくり返す方法が知りたい人

内容のレベル
    7

通念論破論

通念の抜け穴
通念を覆すためには、まず通念が広がったパターンにどんなものがあるのかを知る必要がある。様々なパターンが考えられるが、その中でも通念を覆すために用いることが出来るパターンは、少なくとも二つあると考えられる。

一つ目は本書にもある通り、誰か影響力を持った人間なり組織が間違った意見を発し、それが世間に広がってしまったパターンだ。要するに、ある道の専門的な立場の者が、意識的にせよ無意識的にせよ、発した間違った意見を、その道に対する情報が少ない大衆が鵜呑みにしてしまって、間違った通念が出来上がるというパターンだ。

もう一つは、ある集団で自然発生的に共通の通念が出来上がったのだが、時代が経つにつれてその通念が古く、時代にあったものでないにも関わらず、新しい通念に取って代わらないパターンである。先ほどのパターンと違う点は、先ほどの場合は、個人または少数の影響力のある者から、ある程度作為的に発信され、集団に浸透していったものであるが、こちらは集団で自然に発生し、共通認識が間違ったまま続行されている点である。

通念論破法
さて、上で挙げた二つの通念の抜け穴を破るには、本書の通り、3つのインセンティブを使うのがよい。その三つのインセンティブとは、経済的、社会的、道徳的なインセンティブのことである。

それぞれを簡潔に説明すると、経済的インセンティブとはお金が増えるか減るかを考慮するという事で、社会的インセンティブとは法律・規則を考慮する事であり、道徳的インセンティブとは他人の目を考慮することである。

では、なぜこういったインセンティブで通念を論破できるのかというと、通念とは往々にして、インセンティブから起因するはずである事象の本質を捉えていない場合が多いからである。それは、つまり通念とはある事象に対して正しくインセンティブを考慮していないので、間違った捉らえ方または、ただ表面だけを追った捉え方をしていることが多いと言い換えることが出来る。

よって、3つのインセンティブから物事を深く洞察していくと、通念では計り間違えた部分が見えてくるわけである。その例は本書を読んでもらうと分かりやすいのだが、解説のために一つ挙げておこう。

通念…相撲界ではインチキがない
力士の経済的インセンティブ(一例)…番付が上がると給料や地位が上がる
力士の社会的インセンティブ(一例)…みんなで口を閉ざせば規則を破っているのがばれない
力士の道徳的インセンティブ(一例)…隠れた所でインチキをすれば人目に付かない

少し考えてみただけですぐ挙がるのだが、もっともここからデータを集めて、それを分析し確かな裏づけを取ることが重要であり、その過程がないと机上の空論になってしまうから注意しよう。

こういった方法で通念の裏を考え、データを分析し裏づけを取る。考えただけで知的好奇心が沸いてこないだろうか?ぜひ、本書を読んで実践方法を見て試してみたらよいのではないだろうか。

さて、わたしも消されないように注意しよう (笑

本書へのちょっとした小言
あまり小言を言うのは好きではないが、二つ言って個人的にすっきりしておこう。

一つ目は、不自然な日本語訳が割とあるという点で、二つ目は終盤子育ての話に偏りすぎであるという点だ。

まぁしかし、特に支障はないからオッケーということにしよう。

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